第三十五話


 ひとしきり休憩するとクラス発表があるのでと控え室を出たウチダ君を見送るとイズミさんが「彼、リク先輩にはどう説明するつもりなんですか」と尋ねてきたので「え? 普通に助っ人って――」と言い掛けたところで「そっちの意味じゃないです」だなんて訂正されたものだから軽くめまいを覚える。


「バレてた?」


「まあ、こんな見せつけられつづけたら」


「……そっか」


「良くないと思いますよ、こういうの」


「うん」


「リク先輩に期待ばっかりして、先輩は遊んでるとか」


「そうだよね」


「そんな、他人事みたいに」


 その言葉に僕はどう答えればいいのだろうかとぐるぐる思い悩んでも解決策は見つからないし「待ち続けるのがつらくなったから、リク君の代替品として付き合っています」なんてこと言いたくもないし言うべきじゃない。


「私、先輩方のこと羨ましかったです」


「え」


「だってあんな仲が良さそうだったんですよ。部活でもずっといちゃいちゃして。私も誰かとあんな風になれたらいいなって、そりゃ思います」


「そっか」


「だから、気に食わないんですよ。こんなの」


「ごめん」


「謝ったって何にも変わんないでしょう」


「そうだね」


「それにウチダ君もおかしいんですよ、あんなの。私が先輩には付き合ってる人がいるよって釘刺してすぐくっついたじゃないですか。あんなの普通の神経ですることじゃありません」


「それは」

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