第三十四話


 とうとう迎えた文化祭当日、つづがなく降ろされた舞台の幕に安堵した僕らは控室に使っている1年4組の教室でペットボトルの水に喉を濡らしつつ興奮冷めやらぬと言った具合でひとまずの成功を祝い合う。


「どうにか終わったねえ」


「台詞吹き飛んだ時はどうなることかと思いました」


「うん。あれはしょうがないよ。僕も何回かなったことある」


「先輩のアドリブなかったら今頃泣いてましたよ、私。号泣ですよ」


「イズミさんもそのうちやることになるよ。」


「できますかねえ。人数的な意味でも」


「一応リク君の妹がこの高校志望してくれるらしいから誘ってみるけど」


「おお、ありがとうございます」


「うん。――ウチダ君? 大丈夫?」


「先輩」


「何?」


「ごめんなさい途中ミスりました……」


「大丈夫大丈夫、あのくらいならカバーできるから。それに初めてでここまで頑張ってくれたんだからさ、満点だよ。本当に助かった。来てくれてありがとうね」


「うう……ありがとうございます」


「先輩とウチダ君は」


「うん」


「どこで知り合ったんですか?」


「第二次文化祭説明会あったじゃん」


「衣装とか機材の書類出してたあれですか」


「うん」


「それが?」


「ほら、ウチダ君、元文化委員」


「いや、それは聞きました。それくらいじゃ接点になんないでしょ」


「僕が書類の書き方間違えててあわあわなってるとこ助けてもらったんだよ。偶然シュント先輩と席隣だったから」


「それでお礼にお茶奢りますって言われて。それからだね」


「なるほど?」

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