第二十六話


 僕の愚痴を遮るように放たれた言葉はしばらく耳の中でせき止められていたけれど数秒もせずに突き破って脳髄にまで至れば最後の抵抗とでも言わんばかりに分かりたくない分かりたくないという気持ちが溢れてくるけれどもうこうなってしまえば取り返しのつきようがないし今まで築いてきた先輩と後輩としての平和な関係ががらがらと崩れていくイメージさえ浮かべばもう諦めてしまうしかない。

 懸命に絞り出した声は窓から吹き込む風に掻き消えてしまういそうなほどにかすれて小さなものだったけれど果たして彼に届くだろうか。


「僕は、そんなつもりで君と仲良くしてたんじゃない」

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