第十一話
五月の風が柔らかに吹くなかで車道を行く赤白黒を横目にハンバーガーのチェーンやインド料理屋、それからスーパー、百均などいくつも並んでいる建物を過ぎ、厚着だったり薄着だったりする人々とすれ違いながら向かったのは見慣れたロゴを掲げたコーヒーショップ。
「えーと、シナモンラテと宇治抹茶ケーキをひとつ。先輩はどうします?」
「……アールグレイ」
「デザートとかサンドウィッチは要らないですか? せっかくなんで勉強教えてもらうお礼したいんですが」
「欲しいけど、どれが何なのかが分からない」
「じゃあ、僕がなんかオススメのやつ頼みましょうか」
「お願い」
彼が注文したのは接頭辞がやたらと付いたアップルパイで、何だか美味しそうなことだけは分かるのだけれど一体これが何で出来上がっているのかはよく分からなくて、とりあえず口にしてみると加熱したリンゴってこんな食感なんだという驚きとしっかりとした甘さをおぼえた。
「おいしいね」
「でしょう?」
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