人形使い

坂西警護

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 カタカタ。CPU計算する音がが暗く照らされた部屋に響く。


「意志を持つAIね。実に下らない」


 そもそも、意志とは何かと、問われて一つの答えにたどり着かない中、意志を持つAIとはあまりに荒唐無稽。


「にしても壮大な夢の末端がこれとは……」


 カタカタ。ディスプレイが照らす。


 俺は意志を持つAIを産み出すプロジェクトの末端の末端だ。

 

 その役目はAIを作るコンピューターの保守をするコンピューターの保守だ。


 俺は掃いて捨てるほどいるSEシステムエンジニアの一人だ。


 ふとeメール欄を見ると一件、新しく来ていた。プログラムのソースコードだ。


 また、これか……。


 これは意志を持つAIの産み出したコード。性格には天才プログラマー様のコードを未完成品のAIが拡張したものだ。


「相変わらず意味が解らん」


 俺は指示どうりに文字列を弄くる。


「このPCには捨てられたゴミコードしかないぞ」


 俺はゴミを整理する。


 ディスプレイは部屋を照らす。


 部屋には誰もいなかった。



 


 

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人形使い 坂西警護 @tarantulata2

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