11・罠師、反撃す
宗八と狩谷は車の中で凍えていた。エンジンを切ってから三〇分以上が過ぎ、車内は冷蔵庫並みだ。
車は、四車線道路を挟んで若林不動産の向かいに位置する、パーキングビルの三階に停められていた。若林の社用車の駐車にも使われているビルだ。
車の前方はコンクリート地のままの壁に遮られていた。壁には、大人の腰ほどの高さに、窓代わりの切れ目がつけられている。五〇センチほどの高さで壁が打ち抜かれ、外部に開放されているのだ。その切れ目は、壁面全体を巡っている。採光と換気を兼た構造だ。北風が壁に当たってうなりを立てていた。
パーキングビルには何の飾り気もない。目につく色はコンクリートの無機質な色調ばかりで、今は照明も大半が消されている。その寒々しさは深夜の墓地を連想させた。
宗八の車からは、若林のビルが見えた。社長室の窓が右斜めに見える。窓を覆ったカーテンには若林の影が映っていた。距離は約二〇メートル――盗聴器の電波は確実に届く距離だ。
宗八は、検察の資料にあった若林のビルの設計図を完全に記憶していたのだ。
そして今、二人は後部シートに身をかがめ、一枚の毛布をかけ合っていた。二人の間には竜子が残していった装置が置かれている。
受信機だった。しかしそれはまだ、鍵を開ける際の会話しか送ってきていない。狩谷が受信器のアンテナをどう動かそうと、その続きが聞こえない。
狩谷は言った。
「盗聴器……壊れたのか?」
それでも宗八は落ち着いていた。
「そうじゃぁねぇ。若林が感づいて、細工したのさ」
「それじゃ、奴の出方が分からない! 特捜を動かすタイミングもつかめない!」
「だからよ、二つ目の盗聴器を送り込んであらぁな。奴は、最初の一個を役立たずにして安心してらぁ。二つ目が来るとまでは思っちゃいねぇだろうよ」
第二の送信機は、すでに若林のオフィスに送り込まれていた。大学ノートを詰めたアタッシュケース――その握りの部分に組み込まれている。
送信機の本体は鉛の板に包まれていた。透視検査を予期して、防御策を講じさせていたのだ。送信機のマイクは、X線シールドに用いた鉛板そのものを流用している。したがって外部へ配線やマイクを露出させる必要はない。さらに電波を放出するアンテナは、蓋のまわりのステンレスの飾りに偽装されていた。
ケースを分解しない限り、送信機が発見される恐れはなかった。すでに一つの盗聴器を無力化している若林が、そこまで慎重になる確率は極めて低い。しかも宗八は、若林は盗聴器に気を配る余裕がないほど忙しいはずだと予測していた。
宗八は受信機のボタンを押して周波数を変えた。
狙いは当たった。電波はオフィスの窓を透過し、パーキングビルに届いている。
狩谷は宗八の周到さに驚きはしたが、何も聞かず、何も言わなかった。
若林と刺し違える計画が、真の罠から目をそらすための偽装だったことは確信に変わっている。だが状況は、もはや彼がコントロールできる段階にはない。狩谷は宗八を操ろうという考えを捨てていた。
受信機からは、かすかに若林の声がもれていた。
『犯人の所在が掴めましたか?』
宗八はしばらく前からおし黙り、それまで熱心に読んでいた『ヘンタイよいこ新聞』を握りしめて、受信機からの声に聞き入るだけになっていた。軽口がぱったりと止んでいることが、不気味でさえあった。
狩谷はいらだっていた。
ケースの中身はまっさらなノートだと聞かされていた。なのに受信機からの声は、本物の〝立木文書〟が現われたことを匂わせている。それどころか、若林のオフィスにはあらかじめ記者らしい人物たちが待ち構えていたのだ。罠師の手下には厳重な尾行が張りつけられているともいう。
なにもかも、想像もできなかったことだ。なぜそんな事態になっているのか、それが何を意味するのか、見当もつかない。
狩谷は小声で質問した。
「おまえ、〝立木文書〟を偽造したのか?」
宗八は平然と答えた。
「今、若林んところにいるなぁ、海千山千の記者どもだぜ。いくら罠師だって、奴らを騙せるほどの文書はでっち上げられねぇ」
「何で記者がいるんだ⁉」
「奴が呼んだんだ」
「だから、なぜ⁉」
「うるせぇぞ! 声が聞こえねぇ」
宗八はそれきり受信機の声に注意を戻した。
狩谷の困惑は深まるばかりだった。
宗八の言葉が事実なら、文書は始めから若林の手にあったことになる。しかも、それを罠師が持ち込んだものに見せかけて、マスコミに公開したことになる――。
罠師の部下がアタッシュケースを持ち込んだのは、まぎれもない事実だ。尾行者に相応の力量があれば、罠師の素性は確実に暴かれる。それは『特捜と罠師が手を組んで立木文書を捏造し、若林に売りつけようと企んだ』という、〝荒唐無稽〟な詐欺事件を意味する。
だが、いったん報道されれば、それは〝事実〟に変わる。特捜部にとっては致命的だ。
狩谷には、若林の策略に陥ったしか思えなかった。
なのに宗八は逃げ出すどころか、ぴくりとも動かない。無表情に耳を澄ませるばかりで、不安も感じさせない。
その自信が強がりでないなら、若林が仕掛けてきた第二の策略は、折り込みずみのだったことになる。
狩谷はこらえ切れず説明を迫った。
「どういうことなんだ おまえ、若林に利用されたんじゃないのか?」
宗八はうなずいた。そして、受信機から注意をそらさぬまま、小声で語り始めた。
「利用されてやったのさ。若林に気に入られるように、知恵を絞ったんだぜ」
「じゃあ、俺に話した作戦は……?」
宗八は狩谷の目をじっと見つめた。
「てめえだって信じちゃぁいねぇんだろう? 若林があんなちんけな罠に引っかかるもんかい。奴め、死ぬほど笑ったろうよ」
狩谷は、宗八に腹を見透かされていたことを思い知らされた。
「そりゃあ、まあ……何か企んでるとは思ってた。だが、記者が来ることは知ってたのか?」
「情報屋に確かめさせた。尾行についた奴の名前まで分かってらぁ。面子が揃ったから、幕を上げられるんでぇ」
宗八の準備に漏れはない。その頭脳は、狩谷のはるか先を疾駆している。
「しかし、こっちはおまえから命じられたとおり、特捜も警察も呼びつけたんだぞ。みんな、連絡を待っている。今さら計画が変わりました、なんて……」
若林は駐車してすぐ、捜査担当者が配置に付いたことを確認する電話をかけに行かされている。特捜部と警視庁が、すでに近くで待機しているという返事を得ていた。
「変わっちゃぁいねぇ。てめえは、俺が言った通りに動きゃぁいい」
「しかし、若林は文書を……」
「ま、もう少し待ちなって。奴が身動き取れなくなったら、洗いざらいぶちまけてやらぁ。そうさなぁ……あと小一時間ってぇとこかね。そうすりゃぁあの策士、てめえがとんでもねぇドジを踏んじまったことを思い知るさ」
「じゃあ、おまえの罠は……?」
「ほとんど終わってるぜ。あと、ほんの一押しよ。そっから先は、てめえみてぇな素人衆の芝居だけで若林はお陀仏だ」
宗八の口調はこれまでと全く変わりなかった。だがその笑いは、不気味なまでの凄味を漂わせていた。目は少しも笑っていなかったのだ。
狩谷は初めて、宗八のそんな目を見た。反論を許さぬ厳しさがあった。狩谷は、罠師・大熊宗八の本性を垣間見た気がして、寒気を覚えた。
*
トレンチコートの〝脅迫犯〟は、雑居ビルの裏口に車を寄せてエンジンを切った。ゆっくりと車から降りると、さり気なく辺りを見回す。そうして数分間、じっと聞き耳を立てていた。
と、一人うなずき、キーを抜いて車の後部にまわった。
向かいのビルの角にバイクを止めた倉持は、男を観察して微笑んだ。同時に、落胆もしていた。
〝脅迫犯〟はここへ着くまでの間、何度か尾行を巻くための回避行動を取った。しかしそれは追跡を察知したからではなく、マニュアル通りの機械的な手順のようだった。事実、倉持のチームには何の障害にもなっていない。
〝思ったより、骨のない奴だったな……〟
何より倉持の期待を裏切ったのは、運転技術の未熟さだった。最高時速が五〇キロに達しなかったばかりか、信号が黄色に変わったとたんに交差点の真ん中で停止する――まるで、教習所を出たばかりの中年女性を思わせる運転だったのだ。倉持は、相手は犯罪の素人だと結論した。
彼はまだ、若林が隠したという発信機を作動させていなかったが、その必要があるとも思えなかった。
〝脅迫犯〟がトランクから段ボール箱を一つ下ろし、鍵をかけた。そのビルが最終目的地かどうかは即断できないが、現金を移動させることは確かだ。ビルの中には、必ず相手の素性を割り出す手がかりがある。
と、倉持は背後から軽く肩を叩かれた。部下の一人だ。
振り返った倉持は小さくうなずいてささやいた。
「連絡を入れてくれ。金を移している」
〝脅迫犯〟は重そうに段ボール箱を抱え、ビルに入った。
倉持は腕のダイバーウォッチに目をやった。七分後に戻った〝脅迫犯〟はやはり一人だった。
倉持は、若林の立合いのもとに現金を収めた三個の箱を確認していた。大きいし、重い。〝脅迫犯〟に仲間がいるなら、必ず手伝いにくるはずだ。見張りもなしに路上に大金を放置するのは危険すぎる。少なくとも今は、単独行動を取っていると考えられた。
倉持の傍らで、部下がカメラを使っていた。超高感度フィルムと超望遠レンズをセットしたプロの持ち物だ。モータードライブでシャッターを切るかすかな音が倉持の耳に届く。
倉持は言った。
「顔が押さえられれば、写真はもういい。他の出入口を固めさせろ。金を移し終えたら、またどこかへ行くかもしれない。絶対に目を離すな。若林のようないけ好かない野郎に笑われるわけにはいかない」
だが、倉持の表情に緊張感はなかった。男が自分の監視から逃れることはないと確信していたのだ。
およそ二〇分後、トランクは空になった。
倉持は、尾行を部下に任せてビルに入ろうかと迷った。自分が踏み込めば犯人を特定できるという自信はあった。が、諦めた。
命じられたのは、完璧な尾行だ。ビルの場所を報告すれば、警察は数分で到着する。捜査は警察の仕事だ。指示を破って金を追えば、余計な面倒事を背負いこむ恐れもある。一介の雇われ探偵としては、好奇心の代償にそこまでの危険を冒すことはできない。
〝脅迫犯〟がビルから現われた。車に乗り込んでエンジンをかける。
〝やはりアジトは別か。とことんつき合ってやる。しかし、あまり素人臭い真似はするなよ。少しは楽しみたいからな〟
*
宗八は時計に目をやった。そして、狩谷をじっと見すえた。
「そろそろ頃合だろうよ。種明かしといこうじゃぁねぇか」
狩谷は黙ってうなずいた。さすがに緊張を抑えきれなかった。
宗八は、かしこまった狩谷に微笑みかけた。
「馬鹿、堅くなるこたぁねぇやな。てめえらしくもねぇ」
狩谷は、ふっと詰めていた息をもらした。
「まあ、そうだな……」
「まずは、若林の考げぇてることを教えてやろうじゃぁねぇか」
「分かるのか?」
「分からねぇで罠がかけられるか? 俺がケースに入れたなぁ、正真正銘、ただのノートさ。ところが野郎、文書を出してきやがった。目の前に呼びつけた記者どもをペテンにかけやがったのさ」
「だから、若林は〝立木文書〟を持ってたんじゃないのか?」
「持ってりゃあ、燃やして終わりだって言ったろう?」
「じゃ、なんなんだ⁉」
「手に入らねぇもんだから、てめえでこしらえやがったんだよ」
「はぁ……? なんだと! 若林が偽造したっていうのか⁉」
「その通りよ。中田を叩きつぶす文書を、若林がてめえでこしらえたんだ。中身は全部本当のことに違げぇねぇ。でなけりゃぁ、十年も中田に食らいついてきた記者どもは騙し通せねぇ。奴ぁな、はなっからその偽文書を手元に隠して、俺のカバンが届くのを待ち構えていやがったのよ。罠師が売りつけたように見せかけるために、な」
「つまり……中田を裏切る気か?」
「それも違うな。奴の狙いは、まだどこかで眠ってるかもしれねぇ本物の〝立木文書〟をただの紙っ切れに変えっちまうことさ」
そして宗八は、若林の意図を語った。それは恐るべき正確さで真実を見抜いていた。
説明を聞き終えた狩谷は茫然とつぶやいた。
「ということは、高速でトラックの上に落とした、あれ……あれが、今、奴のオフィスにある偽文書なのか?」
「あたぼうよ。でなけりゃぁインターに隠れていやがった手下どもが、あんなに青くなってトラックを追っかけたりゃぁしねえ。若林はあの時、高速で俺たちに文書を奪わせて、特捜に送り込む腹だったのよ。だから、こっちはわざとドジって見せたってぇ寸法さ」
「じゃあ、おまえは始めから奴の企みを知ってたのか?」
「はっきり腹の内が読めたなぁ、奴らの慌てようを見てからだがね。ま、大方の見当はついてた。ともかくこっちやぁ、若林の最初の狙いをぶっ潰した。で、若林は、もう一度偽文書を生かす方法を考げぇなけりゃぁならなかった。というより、こっちが誘い込んでやったんだがね。それで今、あいつんところにゃぁ記者どもが目を光らせてるってぇ成り行きだ。親の仇みてぇだった記者連中を、てめえに都合がいい証人にでっち上げちまおうってぇ魂胆でぇ。罠師と特捜がつるんだ詐欺だ、ってぇ花火が打ちあがりゃぁ、これから先に本当の〝立木文書〟が出てきたって誰も信じねぇ」
狩谷はようやく我に返った。
「馬鹿! すぐに何とかしなけりゃ!」
「ここまで読めてて、奴の手にはまる間抜けがいるか?」
「しかし……どうする?」
「奴はもう逃げられねぇ」
宗八の冷たい眼には、反論を寄せ付けない厳しさがあった。
「そうまで言うなら信じるが……。しかし、なぜ偽文書のことが分かった? 間違いはないのか?」
「絶対に間違いねぇな。悪いが、俺たちゃぁずっとてめえを騙してたのさ。竜子が若林の家に仕掛けた盗聴器な、あれは最初っから奴に知られてたんでぇ」
「推測ではかったのか?」
「覚えてるかい? 盗聴テープを再生した時、ピーッてぇトンビが鳴くような音がしたろう? あれは竜子がこさえた仕掛けだったのさ。体温センサーとか何とか言ってたっけ。誰かが盗聴器に触ると、あんな音を出すからくりになってたんだ。よおっく思い出してみろ。若林は監視装置を点検させに業者をよこすとかなんとか言ってやがっただろう? そいつらが家ん中全部を調べたのさ。で、当然見つけ出しやがった。だが若林は、盗聴器を外させなかった。竜子の機械の出来がいいことを確かめて、てめえの策略に逆用しようとしたってぇことよ。あのとき聞いたことは、若林が罠師に聞かせたかったことなんでぇ」
「そんなウラがあったのか……。しかし、なぜすぐ教えてくれなかったんだ?」
「決まってるじゃぁねぇか。てめえが若林の手下だからよ」
狩谷ははっと身をすくませた。
「何だと⁉」
宗八はポケットから拳銃を出した。コルト25オート――女性でも扱える自動拳銃だ。
「必要なら、てめえでも撃つぜ」
銃口を額に向けられた狩谷は目を丸めた。
「俺を……?」
「護身用さ。罠は仕掛けたが、幕が閉まるまで成り行きは読めねぇからな」
「俺が裏切っている、と?」
宗八は銃を下げて笑った。
「潔白だってぇなら、撃ちゃぁしねぇ。どうせ、若林はお陀仏だ」
狩谷は不満げに言った。
「いいだろう。こっちにも言い分はある。だが、本当におまえ、若林に勝てるのか? 俺には、追い詰められたようにしか見えない。尾行はまけるんだろうな?」
「じゃあ、これだけは教えとくか。尾行をまくつもりなんざぁこれっぽっちもねぇよ」
「なに⁉ 罠師の素性を暴かれてしまうじゃないか!」
「その通り」
「何のために⁉」
「中田の息の根を止めるためでぇ。てめえが悪さをしてねぇんなら、そっちの手柄はくれてやる」
狩谷はその意味が理解できず、上目づかいに白い目を見せただけだった。
宗八はにんまりと笑った。
「おう、そうだ。そこのバッグに電気剃刀が入ぇってらぁ。今のうちに、髭だけでも当たっておいてくんな。てめえにゃぁまだ働いてもらわなけりゃぁならねぇ。そんなみっともねぇツラを若林の前に出させたんじゃぁ、罠師が笑われっちまう」
*
「バカにするんじゃねえよ……」
倉持はつぶやいた。
渋谷を出た〝脅迫犯〟は、もはや尾行をまこうともしなかったのだ。相変わらずスピードが遅く、運転が稚拙だ。尾行に気づかれないために、かえって不必要な神経を使う。
角を曲がるたびにカローラに近づきすぎていたことに肝を冷やし、慌ててバイクの進路を変えなければならない。そんな不手際を何度も繰り返していた。そのたびに同じ悪態を漏らしていたのだ。
だが、目的地が絞られて行くに従い、腹立ちは興奮に変わっていった。
〝脅迫犯〟は、車を小さな公園の傍らに寄せた。エンジンはすぐに切られた。
倉持の心は異常なまでに高ぶっていた。その界隈には十分な土地勘を持っていたのだ。辺りに住む政治家や高級官僚たちの家には何度も監視に訪れたことがある。
〝脅迫犯〟は車を捨てて歩き始めた。急な坂をゆっくりと下っていく。歩調に迷いは感じられない。尾行を恐れてもいない。
倉持は困惑した。〝脅迫犯〟が目指す場所が予測通りなら、事態は根底から覆される。
バイクを降りて徒歩で追跡を続けながら、倉持は自問していた。
〝奴め、なぜあそこへ……? 若林は、なぜ尾行を要求したんだ……?〟
そして倉持は、自分が巨大な謀略に巻き込まれたことをはっきりと理解した。
〝脅迫犯〟は、倉持が予期した家の玄関に立った。ためらわずにインターホンを押す。
会話の内容は聞こえなかったが、〝脅迫犯〟がすぐに通されたところを見ると親しい関係であることは間違いない。警備は極めて厳重で、門が家の中からしか開けられないことは分かっている。
倉持は〝脅迫犯〟が玄関をくぐったことを確かめると、後を部下に任せ、すぐに電話を探した。自分の口から報告しなければならないと判断したのだ。
事態は緊迫していた。
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