第3話 フランシスの悩み

 フランシスは日課となっているヘッドハンティングと自身の悪評の流布の為,街中を馬車で回っていた。馬車を運転する男も,一体どんな理由でこんな無意味な事をさせられているのか見当も付かず,貴族の遊びだろうと考えている事だろう。正直な話,フランシス自身も『なんでこんなことをせにゃならんのだ』と不満たらたらではある。これも,より安定した未来の為でありこの苦行が終われば解放されると信じているから行えるのだ。

 現状,フランシス一人で計画を推し進めているがどう考えても人手が足りない。何時崩れてもおかしくない王国からの脱出には出来るだけ早く物事を進めたい。特に,性技しか取り柄が無いという事にしているフランシスではどうしてもできない武力や知略の部分をカバーできる隠れ蓑や協力者を用意しなければならない。

 これがフランシスにとって最も難題として降りかかっている。フランシスの悪評を知っている場合は,近寄ってくるものはそのお零れにあり付きたい下半身の脳味噌男ども。残念ながらフランシスはお呼びではなかった。女であればとはこの王国では一番駄目な選択でもある。何処で誰と繋がっているのか不明なのだ。交友関係が爛れ過ぎている。

 結果,フランシスは自分の足で目ぼしい人間を探す羽目になっている。正直,裏のルートを使って他国から傭兵を雇った方が早そうだと思わなくも無いが,金で繋がる傭兵より簡単に裏切りそうな傭兵が来るのではないかと疑心暗鬼になっている。しかし,何時までもこだわっていられない。金で雇うところから信頼関係が始まる可能性も十分にある。そこに賭けてみるのも良いのかもしれないとフランシスは思いつつあった。石橋をたたき割るタイプなので,実行には移そうとはしないのだけど。

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