俺の小指は死んだ

常闇の霊夜

無間地獄


今日もまた小指が死んだ……


今日はベッドで寝る時に死んだ。


寝る時に俺はベッドに寝ころぶようにするのだが、その時ゴシャッという音が響いた。知りたくはなかったり、知覚したくも無かったのだが、それでも俺に対して痛覚と言う物は真面目に俺に指摘してくる。


俺の小指が死んだという事を。


その数秒後には足を抑えうずくまる。地獄のような痛みを体感し、なぜもっと慎重に寝なかったんだと思考を巡らせる。思えば小指が初めて死んだのはいつの事だろう。多分五歳の頃だ。


初めて立ち上がる時、人間にとって一番重要な日。その日は確か何も問題が無かったはずだ、しかしそれは足と言う痛みと共に生きていく日でもあったのだろう。俺はいつものように歩いていた。


机のカド。俺は思い切り小指をぶつけた。恐らく今日の夜の日と同じような痛さなんだろう。そして人生でいくら今まで小指をぶつけたのであろうか。


毎日毎日、と言う訳ではない。一ヶ月に一回、と言う訳でもない。ただ凄い時々、不意に小指が悲鳴を上げるのだ。畜生お前はまたやったなと。


小指をぶつけた瞬間、俺は足を抑え何度も跳ねる。何が問題かと言うとこの痛み、死ぬほど長いのである。普通の痛みであれば数秒あれば静まるはずなのであるが、小指をぶつけた時の痛みはバカの極みと言っていい程……痛い。更に長い。


依然小指をぶつけた時はこたつに入っていた時だった。親の足が邪魔だったんでどかそうとしたら、そこにはこたつの足。逃げる間もなく俺に痛みが襲い掛かって来た。


縦の痛みではなく、横の痛み。襲い掛かってくるのはそれ一点。涙が出てくる程痛い。


そんな事を考えながら、俺は今日も就寝する。


多分今後とも、到底小指をぶつけるんだろうと、そんな事を思いながら。まぁ、仕方のないことなんだろう。


そして夜にトイレに行ったときぶつけたのでやっぱり嫌いである。

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俺の小指は死んだ 常闇の霊夜 @kakinatireiya

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