[そら編]

『親なんて嫌いだ』

そらはたまにそんなことを言ってくるーーーーーーーーーーーーーーーー



(おい、そら 起きろ~)

「ゔーん...」

(もう7時だぞ。わしもいつまで生きとるかわからんが。さっさと起きい)

「そやね...。」

歯磨きをしてご飯をバクバク食べるようなふりして一口分だけたべて、服を着て。

くつを磨いて学校に行く。

祖母の形見だ。

「んじゃ、行ってきもうす。」

(...?)

笑えよ。



ガタって音を立ててドアは開くわけもなく。

ガダダダダダダダダッてドアは開く。


開いた先には草原が広がっている...

訳もなく人通りの少ない横向きの家である。

唯一面白いことがあるとすれば付近の土地から湯気が出でいるところくらい。


歩いて50分ほどしたところに学校はある。

バスを使うかって?使わない、というか使えない。

歩いていくしかない。


家を出て


山への階段を上り


反対側から滑り降り


神社に入り込み


階段を降り


不法侵入といわれても言い返せないくらい細い路地裏を通り


学校の裏門を勢いで飛び越えて


校舎に入る。



隣の席にはあいつがいる。

「また走ってきたんか。」

『うん!でも35分!15分の短縮!』

いつも通りだけど最悪な毎日。

最悪な毎日でも楽しい道のりを探そうとあがいてる自分が好きだ。


『今日なんか要るっけ?』

「レポート5枚」

『わあすれたや!』

「は!?」


ばあちゃん、俺今人生楽しんでるかも。

磨かれた靴を前に出し、空は自然とそいつのもとにちかづいていた。

























6月4日 中学在住のそらの祖父死亡

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留まり知らずと1人の生徒 @parts

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