本作は中学時代の同級生3人を軸に進んでいくお話です。
どこかすれてしまっている大学生の青年「三嶋蓮」。
かつて彼が恋をしていた相手「森川菫」。
その親友であり、蓮の幼なじみでもある「霧島七瀬」。
このうち蓮と七瀬の二人の視点で、菫を挟みつつお話は進んでいきます。
それぞれが胸の中に抱えていた葛藤と想い。
そんな青春時代の気持ちが、お話の肝になっていきます。
その辺がしかし過去の話であるだけに、後悔を挟んだり、取り返せない気持ちに揺れたりして、どきどきしていきます。
そしてこのお話は単純な青春物語ではなく、少し不思議な要素を挟んでいきます。
私はこの少し不思議なお話が大好きです。
私自身がそういったお話の書き手だという事もありますが、どうしても隠しがちになる現実での想いを、ちょっと不思議な力のために明らかにしていく。
そういうシチュエーションが好きなのですよね。
不思議な力そのものはあくまでもアクセントであり、物語は登場人物達の心の中を強く描く事で表していく。
本作もそういった要素があって、そしてその不思議な要素が、ああ、こんな風に作用していくのですね……と思わず感心してしまいました。
どんな不思議要素なのかは、ぜひお話を読んでもらうとして。
その中でいろいろと揺れる気持ちが、どきどきして楽しかったです。
ぜひ彼らの揺れる気持ちを楽しんでみてください!