第53話 ロゼローリエ

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種族名:ヴァンパイア亜種(2属)

固有名称:設定可能

カテゴリ:【不死種(2)】

能力アビリティ

・吸血鬼の系譜

 ヴァンパイアの持つ能力を使用可能

理解ラヴ

 敵の能力や思考、過去を曖昧に把握することができる。その対象を絞るほど精度は上がり、敵が魅了状態であればさらにその精度は増す。

誘惑ラヴ

 敵に強力な魅了状態を付与する。敵が、自身の発する匂いをかぐことで発動可能。

融合ラヴ

 自らの手で生物を殺し、その血肉を喰らうことで、再生の能力が一定時間上昇する。


*ヴァンパイア亜種

 すべての生物を愛するモンスター。愛ゆえにその生物のことを深く理解しており、同程度の愛情を欲して誘惑する。愛とは他者の理解であり、欲望であり、その究極は個という垣根の破壊である。


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ヴァンパイアの持つ能力

・再生

 飛び散った血肉はゆっくりとお互いに引き寄せあい、やがて元あった構造を再現する。そこに生命がまだ残っているのなら、それは完全なる復活である。

・夜目

 暗い所でも視界がはっきりとする。その代わり、明るい場所ではかなりの眩しさを感じてしまう。


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「ふむ…。さて、お前は他のモンスターと違って日本語を操る。日本語という社会に属しているわけだ。だから一応確かめておきたいんだが、お前には名前はあるのか?」


「いや、私に名前などというものはない。名前というのは、あくまで認識する他人あってものだろう?」


「そうか。じゃあ、呼び名に希望は?」


「あるはずもなし。登録されるとは、心も体も全てをゆだねるということであろ?覚悟をもってお前のものとなった女に求める許可など、無粋極まりないとは思わんか。」


「…分かった。」


 モンスターである彼女の特徴を挙げるならば、まずはその香り。そして、モンスターでありながら高貴さを感じさせる存在感。諸々を加味して思いついた名前は、主観的には非常にヴァンパイアらしく、彼女によく似あう名前だった。


「お前は今日からロゼローリエだ。」


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 ヴァルハラは、ロゼローリエの居室を最奥、最上部として完結している。言い換えれば、ヴァルハラの攻略はすでに八割方完了しているということ。隅から隅まで調べたりはしていないからさらなる発見があるかもしれないが、ロゼローリエの知識を頼れば致命的な見過ごしというのはないだろう。


 ヴァルハラ攻略で得たものは大きい。まずはケルバウ、ロゥの登録。次にヴァンパイア亜種、ロゼローリエの登録。あとは比較的安全地帯の確保か。単純な戦力として大きな補強となったロゥの存在はもちろん大きいが、それに並ぶほどロゼローリエの存在は大きい。彼女の価値は、情報の取得にある。そして、情報をあらかじめ取得できることの価値は、俺の能力と相乗効果を生み何倍もの付加価値を生むことは明らかなのだから。


「さて、ロゼローリエ。お前はこの宮殿について、どの程度把握している?」


「ほとんど何も知らぬな。」


「そうか。なら、案内して……ん?」


「だから、私はなにも知らんぞ?生まれてこのかたこの部屋を出たことなどないのでな。」


「なら仕方がないか。手間だが、ヴァルハラ…この宮殿を調べて回ろう。」


 このヴァルハラでやり残したことは少ない。よって、思いもつかないような発見を期待しての捜索になるだろう。ミラーマンは魅力的だったが、ロゼローリエを登録した反動か、今はそこまで魅力を感じない。まあ、発見したら検討するぐらいの心持でいよう。


「さて…。まずはこの部屋かな。」


******


 女性の部屋を隅々まで調べる。まあ、厳密に言えば女性の形を取ったモンスターだが、なんと言うか罪悪感のようなものがある。相手が気に留めていないからなおさらということもあるか。だが、やはり何事も徹底的にやるということは重要である。そのことは、すぐに実感として得られた。


『所有可能なアイテムの存在を確認。登録しますか?対象は、リングに該当します。』






―――――あとがき

 二日ほど投稿を休んでしまいました…。今日からは投稿頻度を戻していけると思います。

 ロゼローリエは、ロゼとローリエを合わせた言葉です。ロゼはピンクという意味で、まさに愛の色です。ローリエはスパイスの名前ですが、もととなる植物は月桂樹で、これは古くから神聖視された木です。神聖で気高い存在でありながら、人間にとっての有用性を持つように加工されたローリエというスパイスには、どこかロゼローリエという存在に重なるものがあるような気がします。

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