第46話 体なく、されど心在り

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種族名:レイス(18属)

固有名称:設定可能

カテゴリ:【既死種(3)】【非実体種(6)】

能力アビリティ

・エナジードレイン

 自身と同一座標上にある、生命を持つすべての物体に対し、エネルギーを奪取する。そのエネルギーは概念上のものであるために、痩せこけたり、筋組織が委縮したりなどということはない。しかし、行動は尽くエネルギーを使用するために、最終的にはその場から移動することすら困難になる。

・精神の瞳

 その瞳は、障害たりえない物質を捕捉しない。その瞳に移るのは、生命の持つ光のみである。


*レイス

 物質世界に干渉する術を持たぬ、精神的存在たるモンスター。概念的エネルギーを奪取することでその存在を保つ。あらゆる生命が放つ光の中に生き、その全てに嫉妬する存在である。


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 レイス。霊体のアンデッドとして最もポピュラーなモンスターであり、敵対すれば非常に厄介な存在である。それは、その恐ろしさを直に理解させられた自分にとって明らかなことである。

 その、非実体という性質。その性質に惹かれたからこそ、登録に一切の迷いはなかった。しかしながら、その能力を見ればより大きな魅力というものが見えてくる。

 例えば、精神の瞳。この文面からして明らかに、レイスはあらゆる障害物を通り越し、敵を認識することができる。それは、彼らレイスにとっては自然なことで、どちらにせよ視認されないのだから大きな魅力ではなかったのだろう。しかし、俺たち物質世界の住民と手を取り合うならば、その魅力は肥大化する。

 例えば、エナジードレイン。その能力には、一方的な殺害すら可能になるポテンシャルがある。その性質だけを切り取り、抽出してみれば、セムに非常に近いものがある。俺のように、多くの手札を駆使して戦う能力にとって必要なのは、汎用性より特異性。そう考えれば、レイスは非常に有用な手札であった。


「兎にも角にも、まずは名前を決めなければ…。」


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 レイスの名前に関しては、候補をいくつも考えることができた。例えば、ジルかジルコ。これは、ジルコンという名前の宝石からとったものである。その宝石の持つ力は、停滞するエネルギーを大地へと返還し、穏やかな人間関係を築くこと。その宝石が、古代ギリシャではヒュアキントスと呼ばれていたことから、ヒュアという名前もある。あとは、嫉妬からとってジュラとか。候補が多いというのも、悩ましいものだ。


「うーん…。これ以上悩んでも時間の無駄か。では、ヒュアにしよう。」


 選択肢の中で迷うとき、その結果には必ず後悔が存在する。それはなぜか。選ばなかった選択肢が、悩むほどには魅力的なものだからである。であるからして、彼は、少し悩んで決めきれぬ時、それ以上うだうだと悩むことを良しとしない性格なのである。


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 ヒュアは、リソースを6使用する。しかし、索敵役から攻撃役まで、その用途が限定的ではなさすぎるが故に、それはむしろ6しか使わないと言い換えたくなるほどのものである。平常時は常に顕現しておきたい能力を有するがゆえに残りの15をどう割くかというのがネックとなるが、レイスの索敵能力を信じるのであれば自身の戦闘能力を担保するためのリソースは必要ではなくなる。そう考えれば、ロクロを移動役として顕現させて16、残りの5のリソースは、オルデラでも、ヘクシーでも、カゲロウでもいいだろう。しかし、今はヘクシーとカゲロウを選択する。ヘクシーに乗る骸骨騎士はどことなく人情を感じさせる反応を取ることがあるため、顕現させておきたいということが、その最たる理由であった。


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 ヒュアは、登録したその瞬間からうっすらとではあるものの視認できるように変化した。しかしどうやら、レイスが視認できるように変化したのではなく、俺がレイスを視認できるように変化したらしい。よくよく観察すると、ヒュアは爺ではなく婆の容姿をしている。その姿を見るたびに、彼はヒュアという女性的な名前にしておいてよかったと感じることとなった。


「さて…。オルデラの昇華によって検証可能となった、もう一つのこと。ヴァルハラを守る番犬に、ご挨拶しに行こうじゃあないか。」








―――――あとがき

 こんにちは。最近になって初代ガンダムをようやく視聴したのですが、メカ系、戦争系といった小説を書きたくなってくるものですね。

 レイスの名前に宝石を使用したのは、光の中に存在するレイスの特徴を上手く表したいと思ったからです。それでは、また明日。

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