第40話 肉と骨
******
種族名:キョンシー(3属)
カテゴリ:【既死種(3)】
・生ける屍
呼吸、食事、睡眠など、あらゆる生命維持活動が不要である。また、寿命の概念を持たない。
・
誕生から一年が経過するたびに肉体が生物という枠組みの外で成熟し、強力になる。同時に、その思考能力も上昇する。
*キョンシー
死体のうち、死後硬直完了後にモンスターに変化したものであると言われる。関節は動かず、飛び跳ねて移動する様は滑稽である。しかし、その体はかなりの強度を誇るため、行動に影響を与えるほどのダメージを負わせるのは一苦労である。
******
種族名:ゾンビ(3属)
カテゴリ:【既死種(3)】
・生ける屍
呼吸、食事、睡眠など、あらゆる生命維持活動が不要である。また、寿命の概念を持たない。
・
誕生から一年が経過するたびに肉体が生物という枠組みの外で成熟し、強力になる。同時に、その思考能力も上昇する。
*ゾンビ
死後硬直が完了しておらず、腐肉をその身に纏うモンスター。その特徴から、総じて異臭を放つ。ゾンビに襲われ、その影響で死亡した者の死体はゾンビに変化することが多い。リビングデッドで唯一、肉体にその能力が影響を受け、眼球がないものであれば視覚がないなどその影響は人間とほぼ同様である。しかし、その筋力だけは筋肉量に依存しておらず、一般的にかなり強力である。
******
種族名:マミー(3属)
カテゴリ:【既死種(3)】
・生ける屍
呼吸、食事、睡眠など、あらゆる生命維持活動が不要である。また、寿命の概念を持たない。
・
誕生から一年が経過するたびに肉体が生物という枠組みの外で成熟し、強力になる。同時に、その思考能力も上昇する。
*マミー
完全に乾燥した死体が、付近の多量の布と一つになったモンスター。
******
あれから、リビングデッドと区分されそうなモンスターを見つけ次第撃破していった。今のところ、撃破できたモンスターはスケルトン、キョンシー、ゾンビ、マミーの4種。マミーに関しては、強くもなく魅力もなかったために撃破してしまったが、次は登録しようかと思う程度にはその情報には魅力があった。何より、特異的な臭いではあるものの臭いというわけではないことが大きい。例えるならば、程度を大きくした線香?お香のような匂いである。
しかし、いくら捜索しても、やはりリビングデッドの中に霊を撃退できるだろうモンスターはいなかった。第一階層でも、第二階層でも、捕食、被捕食の食物連鎖的な関係があった。それを無視しているのは、今のところ霊のモンスターのみ。奴が特異的だというパターンも視野に入れつつ、しかしやはり、奴らを撃破できるモンスターを探すという指針は頭の隅に残っていた。
******
「やはり、リビングデッドの中には霊を倒せるモンスターはいないのか…。ならば、それ以外のモンスターを探す?ただ、これだけリビングデッドを探して、それ以外のモンスターには出会っていないんだよな…。」
宮殿を攻める?もう少し捜索を続ける?もしくは、気分は悪いが墓を暴いてみるか?ダンジョンということを考えれば、ここにある墓は人間のものではないだろう。そう考えれば、ハチの巣を駆除するのと似たようなものだ。しかし、逡巡の果てに、彼は宮殿を目指すことを決定した。
******
宮殿は、その大きさから遠くにあっても目視ができる。しかし、逆に言えば目視ができてもなお遠くにあるということである。亡者の世界にある御殿。神話の概念でいうところの、ヴァルハラに似たその建造物を、ひとまずはヴァルハラと呼称することに決定する。なぜならば、宮殿と呼ぶのは絶妙に体に合っていない枕のようなすわりの悪さを感じさせるからである。
ヴァルハラに近づくにつれ、周囲の墓の密度は増す。同時に、墓の数に影響を受けるのか、ヴァルハラに近づいたからなのか、リビングデッドも再びちらほら見かけるようになってきた。それを放置しておくのは、先ほどまでの行動指針に矛盾するので、それらは律儀に倒しておく。そのせいかヴァルハラに近づく足は次第に遅くなっていくが、二度の睡眠のその先に、ようやくヴァルハラまですぐそこというところまでたどり着いた。
―――――あとがき
こんにちは。今回登場した、キョンシー、ゾンビ、マミーに関しては、現在広く認知されている設定を崩さないよう努力しました。なお、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます