第39話 神話の生物
ひとまず、プレイグを顕現してみる。
背に乗せた騎士とその存在を対にするかのように、ヘクシーの本体たる馬はその美しさを保つ。より長くなった鬣と尾は、青みがかった白。その瞳に移る光も相まって、神々しさすら感じさせた。
「おぉ…。ヘクシー。その騎士は意図的に出したり消したりできるのか?」
その問いに対し、ヘクシーは、首を振って応える。その反応によって、ヘクシーは騎乗生物として扱う事は出来なくなったと言えよう。しかし、戦力としてみればずいぶんと頼もしくなり、リソースも2になったと考えれば十分良しだ。
ふと思い立って、
「ふむ…。昇華によって登録先を変更すれば、元のカードは登録なしになる、と。不死種、未死種、既死種のどれも持たないモンスターなど少数だろうから、2、3、4、の価値はまた上がったと言えるかな?」
昇華後のモンスターのために、2、3、4、といった数の小さな数字を残しておくというのは選択肢の一つだろう。昇華後のカテゴリなんて予想もできない。こうして受け皿を作っておくのが、今できる唯一の対応と言えよう。今後は、昇華の条件や兆候も確認していきたいな…。
ヘクシーが騎乗不可能となったため、ヘクシーは顕現させたまま、
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ひとまず、視界内のスケルトンは全て撃破してある。そのため、今はスケルトンを探しつつ、のんびりと移動をしている。
「そういえば、お前には意思があるのか?」
ふと気にかかり、隣を歩くヘクシーに乗るスケルトンの騎士に問いかける。それにこたえるかのようにカタカタと顎を鳴らす騎士の姿から想像すれば、どうやら意志自体はあるらしい。その後、ヘクシーから聞いた話によれば、やはり騎士に意思はあるらしく、言語なくしてヘクシーとは意思の疎通が可能である、と。しかし、俺が登録しているのはあくまでヘクシーであるためなのか、ヘクシーを介しなければその意志は俺には伝達不可能であるらしい。
「スケルトンは透けとるん。なんてな。」
ふと思い立って、誰もいないからいいかと寒い洒落を口にしてみれば、隣の骸骨騎士はカタカタと笑う。表情なく笑うその騎士の姿は恐ろしく、滑稽でもあったのだが、久しく会話というものをしていなかった彼にとっては非常にうれしいものであった。
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ところで、ロクロは今、その角を握りこぶし程度までには成長させている。その防御が物理的なものなのか、概念的なものなのかは分からない。ゆえに、霊に対して効果があるのかもわからない。しかし、物理攻撃を仕掛けてくるモンスターに対し、少なくともほんの数分は時間稼ぎができると考えると心強いものであろう。
防御バリアを展開していないとき、ロクロは最速で移動できる。そのため、ヘクシーの疾走にもかろうじて追走が可能な程度にはその速度は速く、ヘクシーを戦車と例えるならば、ロクロは簡易的ながら、歩く要塞と言える存在であった。
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スケルトンは撃破可能である。しかし、スケルトンと同じ特性を持つモンスターはおそらく他にもいる。リビングデッドと言われるその括りは、おそらく骸骨だけではなく、ゾンビやキョンシーのような動く死体全般が含まれるだろう。よって、スケルトンを探しながらではあるが、今まで無視してきた動く死体。心の中で肉付きと呼んでいるそれらも、倒して回ることに決定した。
―――――あとがき
共通テストお疲れさまでした!今回は数学ⅠAが難しかったらしいですが、難しい問題は、解けた人にとってのプラスであり、解けなかった人のマイナスではありません。読者にいるのかはわかりませんが、受験生のリラックスのひと時に寄り添えればうれしい限りです。
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