第9話 カナリアの声
落ち着け。俺が倒した狼もどきは、間違っても飛行可能種ではなかろう。であるならば、セムが相手したほうか?まあいい。とりあえずはセムと合流しないと。
「いったん保留する。まずは
「これはどういった状況だ?……ふむふむ。ええっと…あれか。」
俺とセムによる謎コミュニケーションの結果、狼たちには誘いの吐息があまり効かず、しかし、その背後で隠れていた小鳥には有効だったと。その上、小鳥を眠らせた途端に狼は動かなくなったということが分かった。
「つまりは、あの小鳥が登録できるモンスターか。この狼もどきたちはどういう扱いなんだ?…まあいいか。登録を開始。使用するカードは、
『保留中のアクションの進行を確認。登録開始。』
いつものごとくカードがホルダーに吸い込まれ、その後一枚が小鳥に向かって飛んでいく。カードに吸い込まれるように小鳥の姿が消え、登録は完了した。
『登録完了。固有名称を設定しますか?』
「保留だ。ほぼ何も知らない奴に名前なんて考えられるか。」
『アクションの保留を確認。』
******
種族名:キャニス・ドミナス(336属)
固有名称:設定可
カテゴリ:【未死種(4)】【飛行可能種(7)】【王種♀(12)】
・鳥の報せ
自身の支配下にあるモンスターに対し、鳴き声によって詳細な指示を出す。
・王権の主張
王種に固有。自身の支配可能なモンスターを支配する。キャニス・ドミナスであれば、イヌ型モンスターのみ。
*キャニス・ドミナス
一見するとただの黒いカナリアであるそのモンスターは、優れた危機察知能力を駆使して生存を続け、徐々に配下たるイヌ型モンスターを増やしていく。遠くまで響くその綺麗な鳴き声は、王権を主張することにより長い長い手足となる。
******
「ふむふむ。なるほど。キャニス・ドミナス。直訳すれば犬の飼い主か。ただ、こいつが真価を発揮するのはしばらく後になりそうだな。駒が増えるほど優秀になるタイプだぞ。きっと。では、名前は…そうだな。マーチにしようか。」
『保留中のアクションの進行を確認。設定完了。同時に、王種の王札による登録を確認。現在、個体名マーチの支配下にあるモンスターの登録を行いますか?登録は、同スートの
「おや。これまた新情報。つまりは、王種を従えると兵士がついてくるということでいいのか?まあ、どちらかというと狼もどきが欲しかったんだし、当然登録するが。」
『アクションを確認。登録開始。』
いつものようにカードが飛び、モンスターを飲み込む……、だけかと思ったが、今回は少し違った。自動的にジャックがばらばらに破れ、その一枚一枚がそれぞれの狼もどきへ飛んでいく。その後はやはりモンスターが吸収され、そのまま手元で一枚に戻った。
******
種族名:ハートの近衛兵[ラビウルフ(44属)]
個体数:5
カテゴリ:【未死種(4)】【兵種(11)】
・単純加速
ただ前進するときのみ、速度が大幅に上昇する。
・聴き耳
耳を立て、周囲の音を拾う。その範囲は、障害物の一切ない空間であれば5kmほどになり、可聴範囲も広くなる。
・近衛の矜持
同スートの王札が顕現中、
******
『登録完了。このカードには複数モンスターが登録されるため、固有名称は設定できません。全フェーズ終了。テーブルクローズ。』
おおうふ。いくつか新情報もあったし、いろいろと気になるところもあるが、まあ一つ言いたい。……近衛の矜持、強いな。
―――――あとがき
こんにちは。今回登場した王種、マーチは、音速を表す
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