甘い仮面《マスク》2
死体の検分をしているのは
真っ白い白衣を纏い、長い髪を一つにまとめている姿は何とも妖艶で、共同で捜査している警察連中は蓮に夢中になっていた。
「ほらほら、いけませんね。みなさん仕事してください」
蓮は長い指を合わせ手を叩いた。
「映像通り、脳天に一発。脳の損傷は酷いから、
死亡した薬剤師の顔を覗き込む蓮。インカムで繋がる、静と樹に伝えた。
『少しの可能性もないか?』
「やってみるだけやってみましょうか。あまり期待はしないで」
結ったばかりの髪を解くと、いい香りが血の匂いを和ます。
蓮の医学技術は最先端を走っている。
中でも今ハマっているのは『
海馬にストレスをかけることなく、特別な点滴を流し、脳内の酸素濃度を上げてダメージを急速に分解。電磁波をオリジナル回路で調整し、ドーパミンを大量に分泌させ「快楽、脳内麻酔」がかかった状態にさせる。
本人はまるで走馬灯を見ている状態になるらしく、その間にできるだけ多くの記憶の引き出しを引っ張り出し、AIコンピュータにセーブさせていくと他人でもその人の見た景色を見ることができる。
この研究は実験済みで、研究者の間でも高い評価を得ていた。
犯罪捜査に採用されたのは最近だが、数多くの事件を解決。研究の成果が立証された。
被験者一号は樹だった。何度も何度も蓮は樹の部屋に通い、同意を求めていた。
「樹、いいだろ。君の整理整頓された頭の中をわたしに見せてくれよ」
樹の頭を優しく撫でながら、誘う蓮。
「あーあー、もう、やめてくれよ。俺はぜーーーたい、嫌だからな」
蓮の手を払い除けて、背中を押して部屋から追い出す。これを毎日懲りずに続けているのだからかなりの執念だったのだろう。
痺れを切らした蓮は
「ふっ。わたしが諦めるわけないじゃない」
目を細め強行手段を企んでいた。
そして樹が寝ている間に青山チームの連中に布袋を被せられ、抵抗するも、強制的に被験者となった。
天才的頭脳から沢山の情報が取れたらしく、蓮はご機嫌だったらしい。
樹は今でもトラウマになっているみたいだが、、、
樹は驚異的記憶力と天才的知能を兼ね備えていた。
赤い瞳は、見るもの全てを記憶すると言われている。
そんな樹に目を付け、樹の脳内を見てみたいという蓮の興味本位がこの研究を始めたきっかけだったらしい。
「記録は全部わたしに回してくださいね」
被害者の写真に記録する警察に涼しくウインクしながら、丁寧に脅して蓮は被害者の死体と共に現場を後にした。
一方、静たちは病院の防犯カメラを巻き戻し、大量な情報を解析していった。
「
静が見つけると、樹がすぐに該当する映像を映し出す。
underground City 鈴トラ @menzukuri
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