第5話 ガラス玉と不思議な力

僕がガラス玉について悩んでいると気づいた彼女は、まるで僕の頭の中が分かったかのように、

「なんで、こんなガラス玉を私が君にあげたのか?って思ってた?」と聞いてきた。

正直に言って、思ってた事を綺麗に当てられて少し怖かったが、僕はうんと頷いた。

すると、彼女は、

「私がこのガラス玉を君にあげた理由か……

確かに、ガラス玉の存在を知ってしまったからこそ疑問に思っているのだろうけどね、よく考えてみて?

こんな重要なガラス玉を見ず知らずの人に渡すと思う?

確かに私と君は、学校ではじめて出会ったかもしれない……

だけどね、リアルではそうかもしれないけど、実は私達は、過去に出会っていたんだよ!

私達がリアルで会う前に、夢の中でね!!

その夢の中で、私達は雨上がりの空に虹がかかっていて、それを2人で見ていたんだ……」

その夢の内容を聞いていて、僕は1つ思った。

「あれ?その夢、僕もみたよ……」と……

それを彼女に伝えると、まるで目を丸くして、

「じゃあ、きっと私達は、繋がる運命にあったんだよ……

当時は、まだ、お互いの事をよく知らなかったけど、全く同じ夢を見るって凄い事なんだよ……

もう、それは、奇跡を通り越して、運命なんだよきっとね……

だから、私が、学校の教室に入って来た時、みんなの事を知らないはずなのに、君がいてびっくりしちゃった……

夢に出てきた君がいて、だけど、少し安心したんだ……

他人なはずなのに、なんか、落ち着けたんだ……

その時に、私は君の事を好きになった……

だから、君と仲良くなれて凄く嬉しかった……

リアルで会うと、凄く優しくて、素直で、だけど、みんなの事を凄く大切にしてて……

もう、素敵としか言えなかった……

確かに、私は、過去にいっぱい苦しい思いをしてきたよ……

その度に、ガラス玉が事前に教えてくれるから、正直怖かった……

だけどね、君といると安心したの……

君と一緒にいる時は、ずっと安心を意味するオレンジ色だったの……

ああ、この人になら、このガラス玉を預けてもいいなって……

そう思えたの……」

彼女の発言に思わずびっくりしてしまったが、僕は凄く嬉しかった……

確かに、彼女といる時は、凄く楽しかったし、嬉しかった……

僕は、そんな彼女に恋していたのだ……

僕は、この思いを正直に彼女に伝えると、

「なら、私達、付き合う?」

と言う発言に、僕は、即答でOKをだしたのだった……

そんな話をしながら、僕達は、ゆっくり何処かへ向かっていた……

でも、1つおかしな所があった……

なぜ、彼女は、キャリーケースを持ってるのだろう……

彼女は、何処へ向かっているのだろう……

と思った……

そして、勇気を振り絞り、僕は彼女にきいた……

「あのさ、そのキャリーケースを持って、一体、何処へ向かってるの?」

すると、彼女は、

「ねぇ、かけおちしようよ……」

と言い出した……

「え?かけおち?

って事は、もしかして、このキャリーケースを、持って、どこか遠くにいくの?」

そう、僕がきくと、彼女はクスッと笑った……


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にほんに架かる虹 コッピー @koppy

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