なぜ人は恋をするのか

 不安定、未確定、揺らぐ気持ち、これまでに経験したことの無い感情が胸の中を取り巻いていた。

 昨日、澄香と別れてからずっとだ。

果たして恋とはなんなのか?と、自問自答してばかりいる。

ただ一つ確かなことは早く澄香に会いたいと言うこと。

そのためにも話の続きを書かなければ。


 夏休みも約一週間が過ぎた。

昨日は徹夜で話を考えていたので、時刻は正午12時を過ぎていた。

言葉には言い表せ無い感情を元に書いたこの原稿は驚くほどに綺麗に出来た。

しかし、肝心のキャラクターについてはやはり自分では評価しきれない。 

なので、早速澄香に連絡した。

プルプルプルプル

「もしもし、澄香原稿できたよ!ふぁーぁ」

あくびが出てしまった。

「待ってました!すぐ行くよ!でも、その感じ寝起きでしょ?お昼ご飯食べてないよね?だから今回は私のとこ来てよ!ご飯作って待ってるからさ。じゃね!」

まるで嵐のようだ。

うんともすんとも言わせずに言いたいことだけ言って切りやがった。

しかし、困ったことに澄香の家の場所を俺は知らない。

電話はめんどくさいのでラインで住所を聞いた。


澄香


清澄

住所教えてもらってないんだが


澄香

そうだっけ?

ごめんごめん、御池に最近できたマンション

そこの6階の15号室ね


清澄

わかった、ありがとう


俺はすぐに向かった。



時刻は12:30分

澄香の言っていたマンションに着いた。

外装、内装ともに新築だけあってとても綺麗だった。

エントランスのインターホンで澄香を呼んだ。

「着いたぞ」

「はーい、今開けます」

澄香にドアを開けてもらいマンションの中に入った。

澄香の言っていた6回の15号室についたのでラインで知らせて開けてもらった。

「お邪魔します」

「いらっしゃーい」

澄香の部屋は1人にしてはやけに広かった。

「なあ、1人暮らしにしては部屋の数多くないか?」

「え?1人じゃないよ。お姉ちゃんも一緒にくらしてるの」

なるほど、だから部屋が俺のマンションより多かったのか。

「そうなのか、お姉さんは今どこに?」

「お姉ちゃんは大学に行ってるよ。今日は午後無い

って言ってたからもうすぐ帰ってくると思うよ」

「なら、先に原稿見てもらっていいか?」

「うん、いいよ見せて」

そうして、30分ほど原稿を見てもらい感想を聞いた。

「どう?以前のから変えて新しい内容したんだ」

少し間があり

「いいね!でも、なんでいきなりここまで書けるようになったの?ほら、こことか、主人公の背景と気持ちがしっかりと書けてるよ!」

「だろだろ、今回は自分でも綺麗に書けたと思ったんだよ!」

予想以上に褒められた。

が不意に

「でもどうして?こんなにも綺麗な感情表現ができたの?」

ドキっと胸が鳴った。

ここで「澄香に恋したから」といえば澄香はどういう反応をするだろうか?

そんな気持ちをグッと抑えて、

「自分でもよくわからないんだ、ただ夢中で書いてただけで」

「そう、まあいいわ。もうすぐお姉ちゃんが帰ってくるから昼食の準備するよ、清澄も手伝って」

「わかった」

澄香には言われ準備を手伝った。

ガチャっ

扉が開いた音がした。

「あっ、お姉ちゃんが帰ってきたよ」

間も無くして澄香のお姉さんが現れた。

「ただいま、あれ?この子は?」

「はい、加賀清澄です。澄香さんに昼食に誘われたので来ました」

「清澄ね。あんた、澄香の彼氏?」

「「はいっ!?」」

澄香と声が重なった。

「まあ、なんでもいいわ。私は加藤舞、よろしくね清澄くん」

「はい、よろしくお願いします」

それからは3人で澄香の作ったご飯を食べた。

パスタだった。

そして澄香や舞さんと話したりしているうちに午後6時になっていた。

「澄香は今まで家に人を連れてきたことがなくて、清澄くんと会ってからかな、笑顔が増えていったの。だからこれからも仲良くしてあげてね」

「わかりました、ではさようなら」

「バイバーイ清澄」

そうして家に帰った。


澄香のことを俺は全然知らない。

過去の澄香はどうだったのか考えたこともなかった。

人の過去を知りたがるのはいけない気もする。

だが、今度さりげなく聞いてみよう。

今までどんな道を歩んできたのかを。







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パサド・イフトラ むめい @Mumei7

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