龍が宿る刀、五色の刀と呼ばれるうちの一振り、白龍刀を託された少女、一桜。急襲され灰燼となった故郷の再興を目指す彼女は、しかし五色の刀を巡る王家の謀略と争いに巻き込まれていく。
戦国時代を思わせる雰囲気ながら、舞台は現代文明が古代文明として扱われている、かつて日本と呼ばれていた国ジパング。人を食べる魑魅魍魎も現れる和風世界で、一桜は道中で助けてくれた忍者、風魔幻霞と共に旅をします。
狙われる身のため逃亡する一桜は、時に無謀ながら勇敢で、男勝りな性格。刀に選ばれたことにより、女性とは思えない力を発揮することができますが、斬ってしまった相手を始め、他者への情が深い主役らしい主役。幻霞は腹に一物を抱え、真意が見えないながらも、気さくで親しみやすい人柄。一桜が世間に疎く、幻霞が何だかんだ世話を焼くという間柄が微笑ましいコンビです。
視点は一桜だけでなく、謀略の中で動き争う王家関係者や、巻き込まれる土地の人々の思惑も見られますが、中でも野心を燃やす皇子、緋耀の活躍が見所。軽薄な面もありながらカリスマ性も持ち合わせる彼の、己の目的を冷静に射抜いていく姿は正に智将。癖のある部下を従えつつ、楽しむように進む姿には惹かれるものがあります。
魅力的な人物たちが織り成す、五色の刀を巡る物語は、いかなる様相を見せてくれるのか。ぜひご照覧あれ。