評者がこの作品の中で最も気に入っているのは、現実と異世界、両方の時系列が交錯するように物語が展開していく点です。
主人公はゲーム機を通してログインすることで、現実世界と異世界を自由に行き来できます。
ゲーム要素を色濃く反映したその異世界はどうやら、主人公の幼馴染が普通にゲームとして遊んでいるゲームサーバー世界の三百年後という「設定」らしく、幼馴染がゲーム内で起こした行動の結果が、その異世界に著しい影響を及ぼしていくことに主人公は気付くのです。
主人公の主観において、つい先ほど見聞きした話が、異世界で生活する人々にとっての三百年前の歴史として語られる不思議。
そんな舞台設定を用いてどのような物語が紡がれていくか、興味が湧きますよね?
評者は、二つの世界の関係性にどのような決着(または解釈)がもたらされるのか、という大枠の謎に迫っていく部分に特に注目していますが、そんなお堅い話は抜きにして、所謂エンタメ的な王道、ドキドキワクワクな展開もしっかりと押さえられていますのでご心配なく。
ちょっと細部の設定をいじっただけのテンプレ作品ではなく、その作品だからこそ描けるドラマ、それを期待させてくれる作品です。
(第一章読了時点でのレヴューとなります)