第23話・ニコラスとの婚約続行は願い下げです
一週間後。マリーザは母と共に宮殿に招かれていた。王妃さまから私的な招待を受けたのだ。王妃さまはマリーザの母親とは若い頃、ピエラ学園で学んだ学友で親しい仲だったようだ。
公爵令嬢だった王妃さまが、当時の王太子の元へ嫁いでからは、二人の交流は途絶えがちになっていたが、父の商会が王家御用達となってから、また交流が復活したそうで、マリーザが物心ついた時には、母は時々、王妃さまに招かれて宮殿に足を運んでいた。
その為、宮殿では出入りの歳に厳しい身元証明のチェックがあるはずなのに、番兵はマリーザの母の顔を見るなりすぐに通してくれたし、王妃さま付きの使用人が走ってきてすぐに王妃さまのもとへと、案内してくれた。
「ニコラスとの件、聞いたわ。マリー、ごめんなさいね。あの子、随分と酷いことをあなたにしていたようね?」
「あの。いえ……」
「本当よ。期待外れもいいところだわ。カメリアが優秀な甥っ子だと勧めるから信用していたのに……」
「お母さま」
応接間に通されてすぐに王妃さまから謝罪があった。ソファーに腰掛けたマリーザの横で、母のオルソラは王妃を詰る。向かいの椅子に腰を下ろしている王妃さまは苦笑していた。カメリアと言うのは王妃の名だ。二人とも今日のように非公式で会う場合には、敬称を抜いて名前で呼び合っている。そこからも二人の親しさは感じられた。
母の気持ちは分からないでもないが、王妃さま相手にそんなに強気でいいのかと、内心オロオロしているマリーザとは違い、オルソラは平然としていた。
「ニコラスは、わたくしの前ではとっても素直で良い子だったから、マリーにも優しく接していると思っていたの。でもそれは間違いだったみたいね。サンドリーノからも学園でのこと色々と聞かされて、未だに信じられない思いよ」
「そりゃあ、国王陛下夫妻の前でなら、へりくだった態度を取るでしょうよ。彼は影でマリーの悪口を言っていたみたいだし、我が家の使用人達を顎で使っていたそうよ。何様のつもりかしら?」
「お母さま。言い過ぎですよ」
「いいのよ。マリー。オルソラが怒るのも無理はないの。これはわたくしがいけないの。安易にニコラスとの婚約を持ちかけたから。初めからオルソラは反対していたのよ。マリーはニコラスのことどう思っていたの?」
マリーザはさすがに、それ以上は不敬に当たると、母を諫めようとしたが、王妃さまはそれを止めた。ニコラスは伯母である王妃さまの前では、良い子ぶっていたようだ。その為、王妃さまは外面のいい彼に騙されていたらしい。
その為、宰相からミラジェン子爵家から婚約解消を持ち出されていると報告は聞いていたと思うが、その原因が良い子の甥っ子に非があると聞き、納得出来なくて、王妃さまのところで差し止めていたようだ。
息子のサンドリーノ殿下からも甥っ子の不評を聞き、ようやくニコラスが自分の前の態度と、他の者への態度には大きな違いがあったと気がつき、急ぎマリーザ達を呼び出したに違いなかった。
マリーザは王妃さまに、今までの事を全て打ち明けることにした。このままニコラスとの婚約続行は願い下げだ。
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