第14話・メローネはこれで3人まで接触済み?
「きゃっ!」
「大丈夫かい? きみ」
シルヴィオと二人で校舎の壁に身を潜めながら窺えば、ベンチに座っていた先輩の前でメローネが派手に転んでいた。メローネは何度も頭を下げて詫び、相手の先輩はしきりに大丈夫か? と、聞いて保健室に行こうと促していた。
「ねぇ、あれってルアン先輩よね? 確か父親が近衛隊隊長の。あの人、生徒会メンバーの一人よね?」
「彼は会計をしている」
マリーザの背後からシルヴィオが窺う。彼に囁かれてドキッとする。彼の声はマリーザにとって落ち着きをなくさせる。彼に意識を捕らわれると平静でいられないような気がして、マリーザは前方に気を向けた。
メローネは攻略対象者の一人、ルアンに説得されて、保健室に向かったようだった。
「……これでメローネは攻略対象者のうち、3人まで接近したことになるね」
「残るは後、2人。サンドリーノ殿下と、間諜のシルさま」
そう言いながら、マリーザは胸の中にモヤっとしたものを感じていた。
数週間後。
お昼時間になるとルアンと、メローネが二人仲良く、中庭で食事しているのが、取り沙汰されるようになっていた。学園内でも男女のカップルは良く見られる。それ次第は特に珍しくもないことだけど、その相手は大概許婚同士に限られた。
「あの二人、付き合っているのかしら?」
「あら、でも確かルアン先輩には許婚がいらっしゃらなかった?」
「ニルバーナ伯爵令嬢のニコレ嬢よね? 仲が良いと聞いていたのだけど……」
ルアンには許婚がいた。その許婚であるニコレ嬢は一つ年下で、マリーザ達とは同級生。隣のクラスにいる。そのルアン達は仲が良いことで知られていた。許婚と全然仲を深められないマリーザにとっては、羨ましいカップルでもあった。
マリーザの場合は、あの陰険眼鏡から学園内では声をかけてくるなと言われていたので、お互い、何か無ければ声もかけなかったし、お互いのクラスを行き交うこともなかった。
彼とは一日も早く婚約破棄したいのに、なぜか宰相が頷かないせいで保留状態が続いている。マリーザは嫌になっていた。
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