第28話 消えるみなも(1)
秋人の予想通り、陽向の神社は参拝者も増えていった。ただ、ちょっと問題だったのは、陽向が社にでると写真を撮られるということ。さすがにこれには困ってしまい、陽向も暫くは社には出入りしないようにしたという。
陽向のこともあったが、実菜穂にとって不安なことが更に一つ舞い込んできた。
先日のこと、田舎の祖母と電話でお互いの最近の出来事を話していると、河川改修工事のことを聞いたのだ。みなもと遊んでいた川辺が最近の豪雨からの洪水被害対策のため、河川幅を広げて、コンクリートでの補強工事を行うようになるとのことだった。さらに、川辺の祠は、引き受け先がないので取り壊しになるという。そのことを詳しく聞くと、1年前から説明はあったようで、施工会社も決定したことから、詳細説明が先月行われた。しかも工事は翌年の4月から始まる予定とのことだった。
実菜穂は、みなもが自分の前に現れたことが、急に気になった。
(こっちにみなもが来ていたときには既に工事は計画されていたのだとしたら・・・・・・みなも、祠にはずっと帰ってないのかな)
実菜穂はみなもが現れた時のことを必死で思い出そうとした。
(みなも、変なこと言ってた。『まだ、間がある』って。あのときは、みなもと会えたことで安心して気が回らなかったけど、それに『行くところがある』って・・・・・・どこに?)
実菜穂は、考えれば考えるほど分からなくなっていった。みなもに聞いてみたいと思う反面、聞くことが怖いと感じている自分がいることに気がついた。
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