第26話 手紙

「はえー……。改めて見るとすごい豪邸だね」

「うん。アクアスを討伐したご褒美らしいけど……それにしてもやりすぎじゃないかね?

3人で住むには広すぎるよ……」

「まあ、これで住むところには困らないんですし、いいじゃないですか」

「……ま、そうだね。これからここでずーっと過去の栄光に縋りつつニート生活ってのも悪くないね」

「もー!それじゃみんなから見放されてぼっちニートになるよ!縋る栄光も薄れるよ!」

「結構結構こけこっこー。ぼっちでも大丈夫なタイプだから私」

「くっ……!失うものがない女は強し、か……!」

「それにしてもすごいですよねこの家。家電も最初っから完備ですよ」

「へ?家電?」

「あれ、空音さんは見てませんでしたっけ?」

「起きた瞬間に誰かさんに引っ張り出されたからねえ……」

「そ、そうでしたね……!それじゃあお家に入りましょうか。お家ツアーです!」

「私はリビングで寝とく~……」




 ———かくして、オビエのお家ツアーが始まった。

「ここはお風呂です!」

「ひろ!!なんかライオンの像あるし!!」

「はい!でも驚くのは早いです!なんとあのライオン、口から水が出るんですよ!」

「マ、マジ!?この家作った人天才じゃん!」

「ですよね!琴葉さんはいらないって言ってましたけど、やっぱりいりますよね!」

「あのドライモンスターはもう駄目よ。ロマンを感じる心が完全に失われちゃってるから」


「———はっくしゅん!はっくしゅん!」

 なんかすごい失礼な事言われた気がする……。くしゃみって何回だと悪い噂言われてる事になるんだっけ?……まあいいや。寝よ。




「———ここは洗面所です!まあここは特に言うこと無いんですけど……」

「あれ、これって洗濯機?」

「はい。最新のやつらしいですけど……逆に使うの難しいですね、ははは!」

「わかるー!家電あるあるだよね!」


「———ここはリビングです!液晶テレビ、エアコン、ソファなどなど、全部最新家電です!」

「ふぇ~!すごいね!」

「ここはキッチンです!冷蔵庫に電子レンジ、調理器具も全部揃ってます!まあ私は料理出来ないんですけどね、えへへ!」

「私もー!!」


「———ここは寝室です!特に言うことないです、大きめのベッドが3つです!」

「よっしゃ寝るぞー!」


「———これは階段です!木製の階段がなんかオシャレです!」

「よっしゃ登るぞー!」


「———ここは二階です!部屋が6つほどありますが、まだ使い道決まってません!」

「よっしゃいっぱいー!!」


「———ここはトイレです!……はい、トイレです!」

「よっしゃトイレー!」


「———ここはリビングです!ソファで琴葉さんが寝てます!」

「よっしゃ……ってさっきも来たよ!」

「あっそうでしたね……これで全部です!お家ツアー終了です!」

「う~ん、うるさくて寝れないよ…………」

「あっ琴葉さんすみません!……あれ、この葉書は何ですか?」

「さっき郵便局の人が来た」

「誰から?誰宛?」

「さあ…………」

「なんて書いてあったんですか?」

「見てない……」

「なんでよ……。じゃあ私が読み上げるよ?」

「おねが~い」


「———えっと……?名前は…………日向首席……?ヘンな名前……」

「そっちは差し出し人ですよね?」

「うん。裏に内容があると思うけど……」

「なんて書いてあるの?」

「あれっ、琴葉。やっぱり一緒に見るの?」

「ちょっと内容が気になって」

「早く見ましょうよ!」

「よし……」

 空音が手に持っている葉書を裏返す。


「「「『俺達の戦いはこれからだ……』」」」


「……え、何コレ?」

「続きがありますよ……。『P.S. これからの日向先生の活躍にご期待ください!てゆーか、琴葉達の活躍がまだ見たい方は是非、この話が元になった異の神々という小説を読んでください!よろしくお願いいたします!マジで!』……ですって…………」

「えっ?これで終わらせる気なの?ほんと?」

「それじゃあみんな、ばいば~い!!」

「さようなら~!!」

「え~…………。まあ仕方ないか……。それでは、ここまで読んでくださった皆さん、本当にありがとうございました。これからも、どうぞよろしくお願いします」


「「「さようなら~!!!」」」




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大賢者の初期魔法遊記 日向 首席 @syuseki_hinata

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