第12話 パート

 実は数ヶ月前にパートを始めた。夫は「働かなくていい」と言ってくれた。しかし私には難しかった。

 自分の稼ぎがない。夫の収入に頼らざるを得ない。私にはそれが申し訳なくて、辛くて、死にたくてたまらなかった。

 私の実家は共働き家庭だった。そのため自分も大学を卒業したら正社員になって定年まで働くのだと当たり前のように思っていた。けれど抑うつで仕事を辞め、当たり前だと思っていたことができなくなった。

 自分の収入がない。それはとてもとても辛かった。夫は、充分な家事ができない専業主婦の私に文句ひとつ言わなかった。「休むのが仕事だ」と言ってくれた。それでも私はその状況を良しとできなかった。

 私はお金の計算が大嫌いだ。家計簿なんてつけられない。どんぶり勘定もいいところなズボラ人間だ。そんな人間なので少しでもお金が必要なのだ。自分が心を痛めずに使えるお金が。そのためには働いて稼ぐしかない。

 そして夫、主治医、カウンセラーと相談の結果、パートを始めることにした。

 丁度いい募集があったので応募した。あまりシフトに入れないため採用されるか不安だったが、ありがたいことに採用してもらえた。久しぶりの勤労は体力的にも精神的にもとても辛いがなんとかやっている。辛過ぎてパートを辞めたいと日々思うが、収入のない生活に戻る方が精神的に辛く死にたくなるので働いている。

 休みの日は寝たきりで休みを満喫できないのが悔やまれる(そのため最近投稿が全くできない)。メリハリをつけて働くにも体力が必要らしい。

 ただ以前に比べると格段に希死念慮が減少しているのでパートに出て良かったのかもしれない。

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ノンプロット~抑うつになりました~ 友利日香梨 @hikari_tomori

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