第11話 起床

 その日の調子は大抵起床時に決まる。午前中に起きれるか否か。これが全てと言っても過言ではない。起きるのが午後、それも2時以降になるとその日はもう駄目だ。

 遅く起きたならその分時間をずらして行動すれば良いと多くの人は思うかもしれない。しかし夜は薬の影響であまり動けない。それに夫とゆっくりしてしまう。そのため午前中に起床するしかないのだ。

 しかし午前中に起床するのはなかなか難しい。まず、早く寝なければならない。私の睡眠は不規則だ。それもとんでもなく不規則だ。眠れる時は0時前には寝てしまう。眠れない時は朝まで眠れず、次の夜を迎える。そんなバラバラな睡眠で毎日朝に起きられるはずがない。

 午前中に起きることができないとそれだけでもう死にたいと思ってしまう。そんなテンションで1日を始めると気持ちが全然浮上しない。鉛のような悲しい気持ちがずっと心の中にある。かと思えばぽっかりと穴の空いたような虚無感に襲われる。

 頓服があれば良いのだろうかとたまに思う。以前処方してもらったが、当時の私はそれを断ったのだ。どうしてそんなことをしたのかはわからない。まだ1人で通院していて、夫にも治療の詳細を上手く話せていなかった頃だ。今更自分から頓服が欲しいですと言う勇気はないし、頓服が適切なのかもわからないのでそこは担当医にお任せするしかない。

 こんな起床ギャンブル人生はそろそろ終わりにしたい。午後に起きたから何だと言うんだ。絶対に午前中に起きなければいけない時に起きられたら問題ないだろう。

 文章にしてみると自分はなんてしょうもないことで悩んで、くよくよしているのだろうか。馬鹿らしくてしょうがない。けれどこの編集ページから離れて少しすれば、また起床のことで脳内を支配されてしまうのだ。

 根本的な考え方を変えるのが1番良いのだろうが、今の私にはどう変えれば良いか思いつかない。そのため今日も、明日の起床に賭けるしかないのだ。

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