第7話 発動。魔王の本気。

「あー疲れたぁ…全く、本気なんて出すもんじゃないなあ。」


「お疲れ様です、モールスさん。」


「あ!エデス先生!見てたんですか?」


「ええ。いい精度だったと思いますよ。あとは威力を育てていけば、ほぼ完璧と言えます。」


「えへへ。そうかなあ。」


「この歳であの状態は才能がありますよ、間違いないく。その点、トネールさんは努力の結晶と言えます。」


「え?でも血筋がって自分で言ってましたよ?」


「血筋は魔法を扱う事において重要です。ですが、それは魔力量の問題です。威力や制度などは努力の結果…ですから、彼の使っていた雷魔法『雷の砲撃』の威力はとても強い、そう評価できます。一体どんな理由から修業を続けることが出来たのかはわかりませんがね。」


「そっか…血筋の問題じゃないのか。」


「もちろん、あの魔術を扱うだけの魔力量はほとんど血筋で決まりますがね。さて、…最後の挑戦者の準備が終わったようですよ?」


「最後の…ああ、ハイサス君。あの子なんだか不思議ですよね。何も知らないにしては、教えても驚きもしない…というか、どっしりしてる?」


「どっしりしている…そうですね。何かを教えたところで、彼の中で「はー、なるほど。」で終わってしまうんでしょう。」


「それって…冷静でかっこいいなあ!」


「………そうですね。」


「あ、今から始まる!魔法は…冷気が出てるから氷魔法アイスだ。おーい!ハイサス君!頑張ってー!」


「…まあ威力を捨てたらそうなりますよね。」


「え?なんでわかるんですか?」


「いや、威力の高い氷魔法アイスを使うなら、もっと大きい…そうですね。剣くらいの大きさの氷がいるでしょう。」


「じゃあ的に刺すんだ。…難しいと思うけどなあ。」


「難しいでしょうね。ただ…」


「ただ?」


「まぁまぁ。見てればわかりますよ。ほら、始まりました。」


「…おお!氷が…つらら?つららでいいの?」


「まぁまぁ。もっと見ていきましょう。」


「ハイサス君大丈夫かなあ。…それで、つららを一本作って。あ、あれ?もう刺さってる。見逃しちゃった?」


「そうですね。見逃してしまったようです。」


「えー!…ハイサス君!見逃しちゃったからもう一回やってー!」


「いやいや。もう一回は反則ですから。…あ、がっくりしてます。ハイサス君がっくりしてます。」


「え!なんで!?おなか痛い!?」


「それはないと思いま…ああ、行ってしまった。まあなんと言う元気な生徒でしょう。…それにしても、魔王の力をセーブしてあれですか。精度の高さだけだと思っていたら、速度とその速度に耐える氷魔法アイスですか。…まったく。」


 人の転生者じゃないと制御が効きませんねえ。

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儂、魔王だったけど転生させられて改心しないといけないらしいぞ? @ASSARIASAKI

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