でかいゴリラ

バブみ道日丿宮組

お題:忘れたいゴリラ 制限時間:15分

でかいゴリラ

 ゴリラが動物園から脱走したらしい。

 そのニュースを聞いたのは、電車の中、

 このときはすぐに捕まると思ってた。

「……」

 私は目を閉じて、少しでも体力回復を図ってた。

 毎日6時に起きなきゃいけない生活は、かなりの睡魔が日中襲ってくる。少しでも寝れるなら、寝たほうが身体にもいい。

 そんなふうに思いながら電車が高校の最寄り駅に近づくと、急停止した。

 ざわつく社内。

 通勤ラッシュの車内だ。誰もが怒りを顕にした。私も目を閉じたままではいられなかった。普通にうるさかったし。

『ただいま、線路内にゴリラが侵入したため、緊急停止いたしております』

 そんなアナウンスが流れた。

 より一層、車内が慌ただしくなる。

 スマホを取り出して、ゴリラのニュースを巡ってみた。

 すると、30ものゴリラが脱走したと書いてあった。

「まじか……」

 思わず、声が漏れる。

 いずれも3,4メートルもあるすごいゴリラらしくて、麻酔銃も効かないとのこと。

 えっ? これ一生発車できないんじゃ?

 そんな疑惑が脳内を駆け巡る。

 麻酔も効かない動物をどうやって、片付けるのか?

 人類最強でもおそらく勝てない。土俵にすら入れないだろう。それぐらいの規模がある。

「……」

 車内は、スマホを取り出して電話する人が続出した。

 社会人は大変なものだ。いちいち連絡しないといけないなんて。

 まぁ……私も学校につかなければ、家に連絡が行くだろう。

『既に出ています』 ← サボったとも親に思われるかもしれない。

 そうなる前に連絡しておこう。

 メッセージアプリを起動し、『ゴリラで電車が遅れてる』と送信。

 すぐに連絡が返ってきて、『戦うの?』と。

「は?」

 どうしてその発想になるのだか。

 怒りマークを送ると、『頑張れ人類最強』。

 ぴきぴきと眉が動いた。

 私は別に人類最強じゃない。むしろ最低に近い部類だ。

 そうであったならば、朝6時に起きなきゃいけない高校になって行かなかった。

「……はぁ」

 座れてることだし、本当に熟睡してしまおうか。

 ゴリラのおかげで、睡眠回復なんておかしな話だけど……。


 それから、3時間ほどして電車は動き出した。

 その日、首都圏の電車はほぼすべて止まったらしい。それと、ゴリラは大量の麻酔で眠らせられたとのことだ。

 時間がかかったのは主に、運搬であって、無効化自体は結構早くにできたらしい。

 眠らせられた場所は交通機関が多く、交通マヒは歴史に名を残すほどのものになってたーーらしい。

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でかいゴリラ バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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