ファミリー
盗賊ギルドの団長。
俺よりもきっとはるかに強い。
何故。
俺なんかに構うんだ。
星の付いているアイテム等無いのに。
何が目当てなんだ、
男「おっと、、
まだ頭が回ってるのか?」
考え事をしながら歩いていて、
男の背中にぶつかっていた。
「すいません。」
男は軽く膝を曲げると、頭に手を載せた。
男「なあ?
俺達は兄弟だぜ?
兄弟ってもんは、もっと。
ファミリーな関係なんだ。
その口調はねえぜ??」
「あぁ。
わりい、、」
男「そうだぜ??」
バシッ。
背中を強く押された。
気付けば知らない奴等が俺を見ていた。
火を囲む様に、複数の冒険者が居た。
男「紹介しよう。
ファミリーだ。
そして、こちらが。
兄弟だ。
」
「よろしく。」
「お帰り。」
「おう!」
俺は軽く頭を下げる。
「どうも。」
男「まあ。
早速なんだけどさ?
ちょっと痛いぜ?
」
そう言われ、視界が暗くなる。
頭に袋を被せられた。
男「肩と胸と背中。
どれが良い?」
「えっ、、。」
恐怖しなかったと言えば嘘になる。
男「"通過儀礼"だよ。
安心しな?
動かなければ直ぐ終わる。
それで、答えは??」
「肩で、、」
男「よしっ。
じゃあ、頼むわ。」
そう言うと、足音が近付いてくる。
か細い指が、肩に触れる。
男「いいか?
良く聞け?
俺らは、仲間割れはしない。
アイテムは平等に分ける。
そして、俺らはファミリーだ。
誰かが傷付けば、
ファミリーで、解決する。
もしも、ファミリーの誰かが裏切ったら。
それは、そいつの『死』を示す。
分かったか?兄弟」
「分かった。」
「汝に印を授けよう。
いかなる時も、我等に愛を授け、
そして、平等に。我等も愛を与えよう。
我等の親愛なる絆をここに、、」
何が唱えられた瞬間。
肩には激痛が走った。
「っ、、。」
その痛みは一瞬だった。
袋を外されると、皆が覗き込んでいた。
「強いねえ?」
「やるじゃん。」
「ヒュー、」
男「今日からよろしくな?」
「よろしく。」
男「よしっ!
今日は、仕事は無しだ!
新たなファミリーを歓迎しよう!」
「やっふぉーい!」
兄弟に肩を組まれ。
「ほら、呑め呑め!」
兄弟に酒を勧められ。
「どうぞ?」
兄弟に飯を貰った。
初めて。
誰かの優しさに触れた。
人の温もりや、愛を。
素で感じられた。
そして、沢山吐いた。
夜空が綺麗だった。
皆。地面で寝ていた。
出逢い方は、あまり良く無かったけど、
付いてきて良かった。
男「どうだ?
ファミリーは。」
「うん。
悪く無いよ」
男「なんだそら。
皆。良い奴だよ。
俺の大事なファミリーだ。」
そう言うと、肩に手を載せて来た。
「どうして、、俺を。
仲間にしてくれたんだ?」
男は笑った。
「さあな?
何となくだよ。」
そう言って歩き出した。
男「付いて来な?」
「うん。」
皆の間を通って、ただ言われるがままにする。
男の背中は広かった。
今は胡散臭さは無い。
あれだけの人数を束ねる団長。
俺には、到底届きそうにも無かった。
「いてっ、、」
男「お前は、何回突っ込めば気が済むんだ。」
「ごめん、」
男「しゃがめ。」
「うん。」
岩場の下には、冒険者がモンスターと戦っていた。
冒険者1「へいっ。」
冒険者2「楽勝!」
冒険者3「良いねコレ。」
目を凝らすと、町に居た冒険者達だった。
モンスターは、意図も簡単に次々と。
地べたへと倒れてゆく。
「どうするの?」
男「へっへっへ。
ここからがお楽しみさね?」
不気味な笑みを浮かべると、
冒険者達は、アイテムを拾う。
冒険者1「あぁ、早くまた来ないかな」
冒険者2「最近はペースがはえんじゃねえか?」
冒険者3「それだけ死んでるっつー事だ。
帰るぞ?
、、。
?」
冒険者2「どうした?」
冒険者1「出れねえぞ、、」
冒険者達は、武器で空中を切る。
冒険者1「くそ!!」
冒険者2「術者が居るはずだ!
探せ!!」
男「残念でした。
さあ。
奪った物を返して頂こうか??」
冒険者達の背後からは、
モンスター達が新たに現れた。
冒険者1「くそ!
また湧いて来やがったぜ?」
冒険者2「誰だ!!
早く、魔法をやめろ!」
冒険者3「舐めやがって」
「すげえ、、」
正直に感心した。
男「だろ?
頭が付いている内は、
ちゃんと使わなきゃな?
後。少しかな、、」
冒険者達は、懸命に戦うが、
モンスターは湧き続けた。
男「例え"雑魚"と呼ばれても。
例え何回倒されたとしても。
雑魚には、雑魚なりの
『戦い方』
があるんだよ。」
冒険者1「うわぁあ!!!」
冒険者2「うはっ、、、」
冒険者3「くそ、、、お」
冒険者達は、無惨にも、
モンスター達に殺られていった。
初期ガチャでリセマラ出来なくて詰んだ 影神 @kagegami
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