怪しげな兄弟



何とか我慢して配給を貰い、


空いている席に着く。



本当に。


目も当てられないぐらい。


悲惨なモノだった。



「くそ、」



「おうおう。


荒れてるねえ?」


食事を始めようとしたら、


胡散臭い男が席に座って来た。


「席なら他にも空いてるだろう?


他に行ってくれないか?」


配給は、まあまあ旨かった。



男「まあまあ。


そんな、邪険にしなくても良いじゃねえか?



なあ。兄弟?」


自分のスープの肉を取り、俺の皿に入れた。


「何が目的あ?」


男「話が早くて助かるぜ。


あんちゃんとは、仲良く出来そうだ。


今日から兄弟としてこの糞みてえな世界を。


一緒に"生き残って"行こうぜ??



なっ?」


男は馴れ馴れしく、肩を触ってきた。


「別に馴れ合いがしたい訳じゃねんだ。


用が無いならあっちへ行ってくれ。」


スプーンで空席を指し、パンを噛る。


男はオーバーなリアクションをする。


男「そんなあ。


まあ、いいさ。


"本題"


に入ろう。


俺は、盗賊ギルドの団長をやってんだ。


まあ、名前は、、」


「名前なんて必要ない。


それで?


"何をして欲しいんだ?"


男は不気味な笑い顔をする。


男「本当。


あんちゃんみたいなの好きだよ?」


「気持ちわりんだよ。」


男「あらあら。


あんちゃんは、群れないタイプだね。


でも、そんな方にも出来る"仕事"があるんだ?


が?



どうする?」



仕事。



昼間に仕事を紹介している、


フリーのギルドみたいなんがあった。


新しい冒険者が稼げる様な仕事が、


ボードには沢山張り付けてあった。



だが、、。


皆。すぐに怪我をして帰って来た。



それも、そうだろう。


戦い方。 


相手のパターン。 



全てが分からないのだから。



新しい冒険者同士でパーティーを組んだ奴でさえ。


身体の何処かを失くしたりしてしまったのも居た。



「こんなん出来ねえよ!!」


「もっと簡単なのはねえのか?」


「怪我してしまって、、


何か補償みたいのはないのですか?」



すると、受付けのおっさんはキレた。


おっさん「じゃかましい!!!


何をグダグダ言ってんだ?


こちとら無償でやってんだぞ、



出来ねえだ?


簡単なのだ?


補償だあ?



甘ったれてんじゃねえよ!!?


こっちは楽だと思ったのか??


無償で飯も、テントもやっただろうが!


後は、死ぬ気で倒してこいよ!



働け!!



怪我したって死んだって。


俺には関係ねえんだ!



、、何をいつまでも被害者ぶってんだ。


ガチャがどうのこうの。


馬鹿みてえに言うがな??



"お前らの運"が無かっただけだろうが。



運がねえならてめえらの身体で。


『自らの道』


を切り開くしかねえだろうよ?



ここでずっとグダグダやってりゃ。


新人冒険者狩りの良いカモだわな?



死にたきゃ、死ね!


自殺ぐれえ出来るだろう?


まあ、そんな度胸がありゃ。


モンスターを、倒した方のが利口だがな。」


新しい冒険者「おい。


換金しろ。」


おっさん「ほれっ。」


新しい冒険者「少ねえな?」


おっさん「アホか。


手間賃だよ。


"仲介手数料"


嫌なら他へ行きな。」


皆。


足元の見合いをしている。



この世界にまともな機関等はない。


自分で、考えて、行動しなければならない。



男「あんちゃん?


おーい。」


目の前でパンをユラユラとさせていた。


パンを取り、口に咥える。


「ふん。


で?


仕事の内容は?」


男「"冒険狩り"」


「馬鹿言ってんじゃねえよ。


俺がlevelも装備も上の奴等に。


どうしたら勝てるっつーんだ。


おっさん。


肉とパンごちそうさま。」


そう言い、席を立とうとした。



男「馬鹿は、どっちだい?


お前さんも。


やっぱり


"こいつらと一緒"


か。」


「?


どいう事だ?」


男「お前さんは一度。席を立った。


もう、話す事なんてねえさ?


精々頑張りな。



"ルーキー?"



俺は男を掴まえた。


「待て!!」


その瞬間俺は下に叩きつけられる。


「ぐっ、、」


男「口の聞き方には気を付けな?


俺は優しくは、ねえんだ。」


「、、悪かった。


どうか、こんな俺にも。


教えては、くれないでしょうか、、」



拳を力強く握った。


こんなことをしなければ、。


ここでも生きていけない。


男「あはは。


冗談だよ?


兄弟なら来ると思ったさ。」



きっと。


あの時謝らなかったら、



俺は今でもあの場所に居続けたのだろう。





















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る