綺麗なお姉さんや可愛い妹がほしくなる小説が溢れるほどにあるカクヨム海のなかで、これはめったに読めない子供(娘)がほしくなる作品かもしれません。
さっちゃんの目を通して時に子供っぽく描かれるお父さんですが、きっと家庭にとっては頼りになる大黒柱、お母さんにとっては優しく穏やかなパートナーなんだろうなと想像しています。ごく自然に子供の目線に立って向き合えるお父さんに見守られ、さっちゃんの心ものびのび自由に育っているんだろうなって。
だからこそ、さっちゃんのちょっとだけ背伸びしているようにも聞こえるシニカルな台詞や心の呟きが、ちっともに憎らしくない。たまらなく愛おしいのです。
私は読んでいるうちになんとなく、高野文子先生の描かれるおかっぱの少女の姿が浮かんできました。