第18話12月12日、14日【了】
12月12日(日)
狭いけど、
あたいのトイレもパパたちのトイレの中に入れてもらった。ルーク兄ちゃんとアルク兄ちゃんの大きなトイレがそれぞれあって、あたいのトイレをどこに置くか、パパが相当悩んでたみたいだけど、便器の横になんとか入ったって。あたい小さいから大丈夫。女の子だし、大きくならない。
という訳にもいかないか。
お兄ちゃんたち、ちゃんと自分のトイレでやってるの? いい加減なんじゃない?
あたいも、もし大きくなったらそっち使わせてくんない? 大きくなれるかな?
アルク兄ちゃん、毛ツルツル、フワフワだね。気持ち良い。
ルーク兄ちゃんもツルツルで綺麗だけど、アルク兄ちゃんに比べたら毛ゴワゴワだね。ルーク兄ちゃんは、もう9歳だし、中年なんだよね。アルク兄ちゃんみたいにはいかないか。
人間でいうとパパぐらい? けっこうおじちゃんね。
パパ、ごめん。
でも2人とも優しい。あたいは二人に優しくされて幸せね。三角関係? いや、アルク兄ちゃんとルーク兄ちゃんもめちゃくちゃ仲いいやん。BLとかなんとか言うやつ? いや〜ん、あたいを巡って争って。そしてあたいに言わせて。
「喧嘩をやめて 二人を止めて あたいのために争わないで もうこれ以上~🎵」
古すぎか?
そんな心配無さそうね。三匹で川の字になって寝ましょう。
おやすみ〜。
12月14日(火)
パパ、その大きなビニール袋、何?
水が入ってるじゃん。塩水なんだ。じゃ、そのたくさん入っているのは貝? ホタテ貝みたいなやつ、やけに派手な色をしてるね。赤や黄色や紫、なんでそんな派手な色をしてるの? 自然の色なんだって。緋扇貝って言うんだ。パパの妹さんが送ってくれたんだね。塩水に入れたまんま生きた状態で送られてくるんだ。凄いね。パパの実家の辺りの新しい特産物になってるみたい。
美味しかった?
蒸してそのまま食べてもグラタンにしても美味しかったって。新鮮なままだもんね。美味しいやね。パパやママも初めて食べたって。あたいも食べたかったなあ。だめ? だめか。人間と同じもの食べたら塩分多すぎるんだよね。そう、ちょっと殻を舐めるだけにしておく。
パパの妹さんって、優しいんだね。いつも色んなものを送ってくれるんだって。お歳暮代わりだったのかな? そう、そう、先週、その妹さんのお陰でパパの小説投稿サイトのこと熊本のFMラジオの番組で紹介されて、パパのペンネームまで放送してもらったんだよね。
どうだった? PV一気に増えたんじゃない?
だめか。そう、残念ね。小説は、宣伝より中身だからね……
ああ、ごめん、パパ。まだ、デビューして三ヶ月なんだからこれからだよ。元気出して。あたいのことじゃんじゃん書いてね。これからは遠慮なくお転婆するわよ。これまでずっと『籠の中の猫』だったんだから。
という訳で黒猫の習性なのか、あたいが直ぐに暗いところに隠れてしまって、分からなくなるからって、鈴付きの首輪を付けられた。昔、ルーク兄ちゃんが付けていたものなんだって。どうお? 兄ちゃんたち、あたい可愛くなった?
鈴の音がするからって、何時もあたいを追いかけてきちゃダメよ。あたいにもプライバシーはあるんだから。
パパとママは、あたいが間違って外に出てしまったらこんな身体じゃ、外で生き残れないと、出ないように、あたいの居場所を常に分かっておこうとしてるみたい。大丈夫だって、兄ちゃんたちもいるし、出て行かないから……
これからもよろしく、パパ、ママ。
終わり ➡ 回復期日記に続く
回復期はこちら
https://kakuyomu.jp/works/16817139556052826764/episodes/16817139556053143293
・・・――――――――――・・・
ここでほとんど実話な出来事シリーズ第10段の「あたいはスピちゃん―真っ黒仔猫の急性期日記」を終わります。この続きは、ほとんど実話な出来事シリーズとは別で
「あたいはスピちゃん―真っ黒仔猫の回復期日記」として甦る予定です。どうぞよしくお願いします。甦れるかなあ?
甦りました。
あたいはスピちゃんー真っ黒仔猫の急性期日記ー 岩田へいきち @iwatahei
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