林田ガイコツと姫 その②
前回までのあらすじ
昨日、迷子の子を家に帰す手伝いをした林田ガイコツだったが、なんと、その子は、根本 勇姫の弟だったのだ。そんな話を笹本、田中らとしていたら、背後に……………………。
とんでもない緊張感が全身の骨を伝う。
根本 勇姫。
体育委員会の委員長であり、バスケ部でも部長を務めている。
中学校からの付き合いだという笹本曰く、文武両道で完全無欠。
学生として、人としてのひとつの答えを見ているようだ、と笹本が彼女を称していたことを思い出す。
根本 勇姫。勇ましい姫。願いを叶える為、己の力で道を切り開く。そんな往年のディズニープリンセスを彷彿とさせる名前だ。
実際の彼女は、「姫」よりも「勇」の要素がとても強く出ているように思える。
名は体を表すなんて言葉があるが、言葉には、そんな特別な力があるように思えてならない。
「ちょっと、大丈夫?」
「……あ」
つい考え込んでしまっていた。
「ねえ、昨日私の弟とさ……遊んでたでしょ?」
やっぱり、話がこんがらがっている。
いや、あながち間違いではないか。
「帰り道に、きょろきょろしてる小学生を見かけたから、話を聞いたら迷子だったんだよ」
俺は続けて回答を述べる。
「それで、その子が通ってる学校の近くまで案内して、そこで別れたんだよ。そしたら、その子が根本の弟だったってわけ」
「……」
この事件の真相があまりにも単純だったゆえに、根本は見るからに拍子抜けした様子だった。
「そう……ごめんなさい。話も聞かず、一方的に……」
「全然、よくある話だよ」
絡まった糸は、簡単に解けた。
むしろ、最初から絡まってなどいなかった。
ふと、時計に目をやる。
授業が始まりそうだ。
「まず、最初に課題回収するぞー」
え?
思わず、笹本の方に目をやると、まぁ予想はついたが課題をカバンから出そうとしているところだった。
次に、田中の方に目を向けると、目が合った。
考えていることは同じの様だ。
「田中と林田は後で俺と一緒に職員室の掃除な」
林田ガイコツは何処にでもいるガイコツであり、男子高校生である。
骸骨の林田ガイコツ。 筋肉愛の申し子 @kinnikuai
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