第46話パジャマパーティー

 俺は、晴明神社の客間でくつろいでいる。女子達は入浴中だ。ここには、女子4人が同時に入れる湯殿がある。


 さっき、俺は1人で入ったのだが。


 晩ごはんは、約束通り上賀茂神社の前にある京野菜バイキングを奢った。それから、お菓子とかこの家へのお土産を四条まで買いに行った。御神水コーヒーと焼き餅は時間が合わなかったからまた今度。


(ここに泊まるの、久しぶりだ)


 兄貴や義母に冷遇されていたが、本家たるここの人達には良くしてもらった。土御門家と六道家自体は、結構確執があったりするのだけど。


♠️

 そうこうしているうちに、女子達が客間に帰ってきた。


(女子の風呂って長いよな)


 髪をあらったり、肌や髪の手入れをしたり。いろいろ大変なのだろう。複数人ではいると、きゃきゃうふふって感じで話すこともたくさんあるのかもしれない。


 4人からは、それぞれ違ういい匂いがする。使っているシャンプーやボディソープが違うのだろうし、化粧液や乳液なども違うのだろう。


 パジャマ姿もそれぞれ違う。パジャマパーティー用の趣向を凝らしていることが窺える。俺は、ジャージとかだが。


「布団を敷いて、配信しよか」


 晴子が宣言した。


 布団の配置は、俺と〝りほ〟が2人で横並びに寝て、枕合わせに沙織ちゃん、晴子、紀香ちゃんが3人ならんで寝る。


 時刻はまだ夜の9時。

 撮影係は、式紙分身した俺である。


♠️

「晴子チャンネルどす。みなさん、ゴールデンウィークをどうお過ごしでしょうか?今日は、我が家でパジャマパーティーどすえ。みんな風呂上がりでパジャマ姿や」


 みんなを映す。


〝待ってました〟


〝みんな可愛い!〟


 しょっぱなから接続してコメントしてくれるファンがたくさんいる。本当に待ってたんだろうな。


 しかし、パジャマパーティーを配信するとは…晴子め、あざとい。沙織ちゃんと紀香ちゃんを動画に誘ったのは俺なのに。ぐぬぬ。


〝明お兄ちゃんが普通に混じってるの凄くない?〟


〝爆発しろ!〟


 はいはい。今日も〝爆発しろ〟いただきました。


 接続数は、脅威の伸びを見せている。現時点で3千人を超えているのだけど。



「今日は、さおりんが大変だったよね。疲れてない?」


「葵祭の御禊神事だね。十二単が重かった。明さんの陰陽師チャンネルで配信しているので、みなさん、是非見てください」


 さりげなく俺のチャンネルに動線を引いてくれる沙織ちゃん、まじ天使!


 〝絶対、見る!〟って感じのコメントで溢れかえる。


「そういえば、神事の途中で沙織ちゃんの胸元が光っていたよ。あれは、陰陽力を見ることのできる者にしか見えない陽の力だ」

 俺が聞いた。


「そうなんです。胸元に式神の卵を入れていたんですけど…卵が二回りほど大きくなってました」


「神事の祈りで大きくなるとは…そやつ、聖獣じゃな!」


「何を祈ったの?」


「世界平和です!」


 あの光かたは、ガチだ。世界平和を本気で祈れる子は、とても珍しいのではないか?



「毎日、綺麗な祈りを捧げることじゃ」


「はい!どんな子が生まれてくるのか、とても楽しみです」


「「いいなぁ」」

 晴子と紀香ちゃんが羨ましがった。



♠️

「今日はどうするの?」


 実は、何をするか事前に聞いてなかったりする。


「ええっと…陰陽師が2人もいて、9千年以上いきている妖狐もいてパジャマパーティー。このシュチエーションですることと言えばー?」

 晴子がみんなに問いかける。


猥談わいだん


〝なんでやねーん!〟


〝猥談、聞きたいwww〟


 湧き上がる〝猥談〟コール!


「怪談や! うら若き乙女が3人もおるのに猥談て…」

 コメントは、晴子も自分のスマホでリアルタイムに確認しているので、即座にツッコミをいれる。


♠️

 部屋を暗くして、ろうそくを灯す。


(神社の客間。ろうそくの明り。怪談の雰囲気がすごいでてる)


 話す順は、沙織ちゃんから、半時計回りで話していく。


 俺は、怪談をすると聞いてなかったので、何を話すか考えていない。みんなの話を聞きながら考えなければ…。まぁ、仕事がら話題はたくさんあるといえばあるが。

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