第19話誕生日会3——時代は百合だ
京風おでんは、昆布と薄口醤油と塩で味付けした色の薄いおでんだ。
具材は割と自由だが…京野菜をふんだんに入れるのが俺流かな?
今回は少し旬を外しているが…聖護院大根も入れる。あとは金時人参、筍、椎茸、海老芋、厚揚げ、ちくわ、こんにゃく、餅入り巾着、卵、牛すじ肉、鳥の手羽先、
牛すじ肉の代わりに鬼の肉が入ってるのは〝りほ〟と鈴さん専用である。2人の席には御神酒の
鬼の肉は、〝りほ〟にとっては栄養価というか…呪力価(負の陰陽力)が高く、きちんとした【ごはん】足りえるが、普通の人は瘴気に当てられるだろうからおすすめしない。
「紀香、誕生日おめでとう。乾杯!」
鈴さんの音頭でみんなで乾杯。大人はビール、未成年は冷たいジンジャーエールである。
「「「「乾杯ー!」」」」
食卓には、京風おでん以外にちらし寿司やパーティー料理の数々が並んでいる。
「ぷはー、勝利の味は格別じゃのぅ!」
鬼肉をほうばり、ビールで流しこんだ〝りほ〟が、おやじくさく言った。
鬼肉、美味しいのだろうか?
「鬼が相手だったんですよね?」
静かに聞いたのは沙織ちゃん。
「うん。8階建てのビルみたいな大きさだったよ」
「みんな無事で良かった」
紀香ちゃんが言った。
なんか、場がしんみりした。
「のりりん、16歳の誕生日を迎えられて本当に良かったね」
沙織ちゃんもしんみり言った。
「さおりんも誕生日会、来てくれてありがとうね」
——のりりん、さおりんの仲なんだ?
2人は、手を取り合って喜んでいる。
(
紀香ちゃんと沙織ちゃんはどちらもビジュアル最強だが…タイプが全く異なるように見える。
カッコいい系・体育会系で中性的な紀香ちゃんに対して綺麗系で品行方正というかお淑やかな感じの沙織ちゃんといった具合。
でも、紀香ちゃんも料理とかが上手く女子力が高いというのも分かる。おそらく、沙織ちゃんの方にも紀香ちゃんに通じる以外な一面があるのかもしれない。
(〝陰の中の陽。陽の中の陰〟って奴か?)
陰陽道の極意。
お互い全く正反対のようでいて一緒の部分もあり、どうしようもなく惹かれあうみたいな。
(このカップリング、推せるかも。尊いなぁー)
俺は感嘆する。単なる厄介なカップリング厨かもしれないが…。
時代は百合である。
「2人には、俺と一緒にI Tube《アイチューブ》に出て欲しいな」
俺はボソっと呟いた。
「「えっ?」」
「あー…いや、後で説明する。それよりおでんの味はどう??」
「美味しいです❤️」
「明さん、お料理できるじゃないですかー。わたしの出番無さそう」
紀香ちゃんが凹んだ。
「何、それ? 詳しく」
沙織ちゃんが話に乗った。
「かくかく、しかじか」
紀香ちゃんは沙織ちゃんだけに聞こえるような小声で話す。
「へー…明さんの胃袋を握る…ねぇ。私もやろうかな?」
沙織ちゃんは俺に一瞬ジト目を向けたような気がした。
もしかして…耳なし芳一的な処置の話もしてる?(汗)
「さおりんがライバルかー」
「正々堂々、真剣勝負。勝っても負けても恨みっこなしだからね」
何やら、俺が間に入れない雰囲気で盛り上がっている。
I Tube《アイチューブ》やwetter《ウィッター》の話は誕生日ケーキを食べながらでもするか。
まぁ、I Tube、doki dogやNetfoxなどの参入で収益が下がっているようだが。
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