第14話どうやってダメージを通そうか?
「さて、どうしたものかな?」
大嶽丸から距離をとって俺はごちた。
ウルト◯マンが無理なら、せめて立体機動装置が欲しー。
「剣術三倍段じゃなかったか?」
〝りほ〟が答えた。
「三倍とか六倍で足りるか?あれ」
俺の身長は175cm。奴の身長は30m超。デカさだけでも17倍以上だぞ?高さにして7〜8階建てのビルに相当する。
ちなみに、ウルト◯マンの高さは40mくらいだったと記憶しているが…
「それはさっき、わらわが言ったじゃろ」
「空を自在に飛んで攻撃すれば良いのでは?」
鈴さんが提案した。
は?空を自在に飛んで攻撃??
立体機動装置を使った戦闘と発想は近いけど…あなたたち、飛べるの?
「…まだ本調子には程遠いので、昔みたいに飛び回れんわ」
〝りほ〟は昔、空を飛び回っていたのか…
まぁ、大陸から日本に渡って来た外来種の怪異だもんな。そりゃ、飛べたか。まさか、泳いで日本海を渡ったわけじゃなかろうし。
「そういえば、鈴鹿御前が自在に空を飛べるのは、【顕明連】に三千世界を覗ける力があるからだとかなんとか聞いた覚えがあるような…」
それだけ聞いても意味がわからないが【顕明連】には次元を自在に超越させるだけの力が秘められているから、持ち主が空を飛ぶことなど容易いということか?
【顕明連】と並び称される【大通連】や【小通連】にも同等の力が秘められているだろう。
厳密に言えば【三明の剣】にはそれぞれ、過去・現在・未来を見通す力がある。
「そうです」
鈴さんは、得意げに胸をはった。
「ふむ。【顕明連】や【大通連】が持ち主に飛行能力を付与するのなら…〝りほ〟と鈴さんには自在に飛行して空からちくちく攻撃してもらいましょうか?」
「
「俺は飛べないし、地上から大嶽丸の攻撃が君らにあたりそうな時に攻撃をそらしたり、傷や体力を回復する役目を担うさ」
「じゃ、それで行きましょう! はぁっつつつ」
鈴さんは、【大通連】を抜き放って、念を込めた。それと同時にふわりと体を浮き上がらせる。
「はぁっつつつ」
〝りほ〟も鈴さんに倣って宙を舞う。
♠️
江戸時代の
松平定信の寛政の改革が余りにも細かいことを定めすぎ、質素倹約に努めさせすぎるものであったがゆえの風刺であるが…〝りほ〟と鈴さんの攻撃はまさにそれであろう。
(蚊というより、ボクシングの元世界王者モハメド・アリか?)
いわく、〝蝶のように舞い、蜂のように刺す!〟
「痛っ! 痛たたたっつつつ!!」
大嶽丸の周りを自在に飛びまわり、ちくちくちくちく攻撃しているのである。
(
大嶽丸は2人を懸命に叩こうとするが、飛行速度が速すぎて捉えられない。
「むぅ…竜巻よ、有れ!」
手で叩くのを断念したのか、竜巻を起こす気らしい。わざわざ声に出したのは、2人の攻撃がよほど鬱陶しかったのだろう。
「「きゃあぁーーーっつつつ」」
竜巻に巻き込まれて錐揉みしながら飛ばされる2人。
竜巻?
(えっと…竜巻って上昇気流だよな? 湿った空気が暖められて上昇して空気の渦が起きる現象って感じか?)
上昇するイメージや空気が暖められておこる現象という概念は火気だけど水気で相殺できる感じが全然しなくて困る。風そのものは木気だし。
(水気と火気と木気の複合術か?)
なら、こちらも複合術で対応しないと…
「【
2人が竜巻に切り刻まれる前に、俺は竜巻に呪符を2枚投げつける。すると…たちまち竜巻が打ち消された。これ、一瞬の判断で下した芸当である。
(俺、天才じゃね?)
ちなみに…水気を混ぜなかったのは、竜巻には火気の成分が発生段階で消費されて残ってないと見たからである。火気の成分が残っていたら【火炎旋風】という、より殺意の高い術になっていただろう。
「くっ…竜巻までも打ち消すか…」
さすがの大嶽丸も呆れぎみ。
でも、術理の判断が難しい攻撃をさらっとしてくるのは辞めて欲しい。3つの気を合成した攻撃って高度すぎるし。
「十二神将は干支や陰陽五行説と密接な関係にあり、相互に力を高めあったり、打ち消しあったりするのさ。
俺は、ボソッと呟いた。そして、〝りほ〟と鈴さんの傷を全て癒やし、体力も全快させる。
バフ役やデバフ役、回復役は追放されがちだと思うが、追放したらパーティーが壊滅することになりがち。重要なポジションなんだ。地味だけど。
〝このポジション、いらないんじゃね?〟とか言ってみろ、【追放ざまぁ】するぞ?
というか、俺を〝いらないんじゃね?〟といいがちなのが六道の家風なのだ。
「「ありがとう」」
「…ちくちくちくちく攻撃して、こちらの攻撃を無効化して、傷や体力まで回復されるとは…きりがないわ!」
「少し休戦して、話をしないか?」
大獄丸に心労が見えてきたので、(今なら話を聞くか?)と話合いを持ちかけてみた。聞きたいことがあったのだ。
もちろん、民法の話ではない
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