第157話 日日是好日な日曜日の、本日。

 今日は日曜日。一週間の中で一番習い事のない日である。二番ちゃんは昼から自転車に乗って部活に向かい、五番ちゃんは近所の公園へ。一番ちゃんは今お風呂から出てきて髪を乾かしている。三番ちゃんは……?


「おーい! さんばーん! さんばーん!」


 いない。まぁいい。多分どこかにいるのだろう。四番もしかり。


――ちっ! 三番を呼んでネタにしよ……と、あ、やってきた。


「なに? 私のことよんだ? なに? なに? なに?」


「なんでもないよ。なんかネタにできるかと思って呼んだだけ」


「もう! 今YouTube見てたのにぃ!」


「あ、じゃあついでにお母さんにアイスコーヒーを……。行ってしまった。まぁいいか」


 そんな普通の昼下がり。さて今日はなにを書こうかな、なんて思いながら書いていますが、こないだから「完結しないと気が済まない」などと言っている私にも、そう言えば完結していない物語の登場人物がいました。


 「よろず屋うろん堂」の死にたがりの女の人です。「よろず屋うろん堂」は、いつか大人なミステリーを書きたい半年前の私が、子供向きの小説を書きながら、なんとなく始めたものでした。


 少し不思議なよろず屋に、正体のわからない妖のようなものに導かれてやってくる人々。その人々の物語を短編で書いて、ある程度纏ったら、そこに出てきた登場人物の織りなす中編小説を書く。いつか長編を書くための練習として始めた気持ちも強かったのですが、第一作品を書き上げて、第二作品にしたいと思っていた、「死に関する第二対策課(通称:死二対課」がそう言えば、まだ完結していませんでした。


 死にたい女の人を書いた短編『死二対課申請書類』を書き進め、途中で熟成しておりました。忘れてた……。いや、忘れていたと言うよりも、頭の片隅にはいつもあるけど、まだ書けないなと思っていまして。い、言い訳! で、では! ないですよ?!


 この詳しい内容は、第42話にあるので、うんと、だいぶ昔の話です。https://kakuyomu.jp/works/16816700429451766535/episodes/16816927860445137370


 でもまだ私の中で熟成がもう少し必要そうなので、まだ続きは書けないなと思いました。「死」に対して思うことが、もう少しいろいろと深めてから書きたいのだと思います。


 「死」と言えば、もうひとつ、「ある小説家の死」というタイトルの長編ミステリーを妄想しています。


 「死二対課」と、「ある小説家の死」


 なんとなく、この二つの物語が交わりそうな気がしているので、もう少し、もう少し、私の人生経験も含めて、熟成が必要だと思いました。もっといろいろなことを経験して学ばねば、なにを伝えたくて物語を書くのかが明確にならない気がしています。


 ウクライナの戦争が始まる前に書いた「祈り」と、その「祈り」を元にお願いして書いてもらったイラストに音楽をつけて動画編集するのも、何かが引っかかってしまって私の中で熟成中です。戦争が始まる前に書いた物語と、現実の戦争。現実の中にいる人々がいる中で、私の物語の受け取り方によっては、誰かの心を傷つけてしまうのではないか、そんな風に思う自分がどこかにいます。私は、そこにいないから、現実で戦争と直面している人の気持ちがわからないからです。


 先日、私の大好きなカクヨムさんがカクヨムから一時的に離れて行きました。それは家庭の事情や仕事、健康面などいろいろな観点から判断して離れたと書いてありましたが、その時には書き込みができたコメント欄が、近況ノートだけでなく全ての作品においてコメント欄閉鎖になっていました。


 どうしてその方は、コメント欄を閉鎖してしまったのでしょうか。私はそうしなくてはならなかったその方の背景を想像すると胸が痛いです。才能溢れる大好きな作家さんの身に一体なにが起こったのか。少なからずこれを読まれた方の中にも、コメント欄を閉鎖したいと、同じような気持ちになった経験がある方もいらっしゃるかもしれません。


 私は基本来るもの拒まず、去るもの追わずです。もしも私に悪意を持ってバッシングする人がカクヨム内でいたとしても、限度を超えない限りは、私なりに誠実さを持って対応し受け流すことができます。もちろん多少なり心は傷つくかもしれないけれど、私を支えてくれる執筆仲間や、家族、リアルな世界の友人たちのおかげで私は復活することができます。なんならそのバッシングされた経験を小説に活かしたいくらいの気持ちです。「やったね! また人生の深みができたわ」くらいの気持ちです。転んでもただでは起きません。


 幸せな経験、苦しい経験、甘い経験に苦い経験、死にたいくらいの悲しみや、怒り。私はそのすべての経験をするために今世この身体で生まれてきたと思っています。幸せなことばかりじゃないし、時には自分の犯した罪に反省し落ち込むこともあります。でもそれもこれも、経験しなくてはわからなかったことです。


 自分の経験、大切にしたい思い、社会に対しての疑問や、様々な感情、意見を私は物語として書きたい。それが私が物語を書く理由です。でも、それは私の理由であって、物語を書くのが趣味のひとつで、楽しく妄想して書いている方もたくさんいらっしゃると思います。


 私たちは物語を想像し、創造するカクヨムさんです。その物語はその人にしか書けないし、その人にしかその物語を完結することはできません。物語は、書いた人にとっての子供のような存在だと私は思っています。私にとっては子供のようなものです。アイデアが浮かんだ時に、受精して、そのアイデアを深める時に着床して、それをゆっくりと大切に1文字1文字綴りながら育てていく。そして、「完結」のボタンを押した時、その作品はこの世に本当の意味で生まれ、そこから先、読んでくれる人や、作者である自分の中で育っていくのです。私はそんなイメージで自分が書いた物語のことを思っています。


 だからできるだけ子供たちを公募に出したいし、PV数に一喜一憂したくないです。コンテストに出していると思うだけで、PV数に一喜一憂しないでいれる自分がいるからです。どれもこれも、拙い文章でも愛しい愛しい子供たちです。



 誰かが書いた物語を非難してはいけない。それは、その人の愛する子供なのだから。


 誰かが誰かの物語を書きたいと思う気持ちを奪ってはいけない。それは、その人の生きる時間を奪うことと同じなのだから。


 私はそう思っています。


 目の前にある小さな四角い画面の先にはたくさんの物語と、それを紡いでいく作者さんがいて、この四角い画面を通して、私はたくさんの出会いと学びをいただいています。本当に幸せなことだと、心から感謝しています。


 本当はすぐにでもコメント欄を閉鎖してしまったカクヨムさんのそばに駆けつけて、思いっきり抱きしめたいけれど、それはできないから、妄想で私は思いっきり抱きしめています。その方と、また一緒にコメント欄で戯れたいと心から願っています。



 さて、そんな本日は日曜日。洗濯物を干して、掃除機をかけて、物語を書いて、私は今日も幸せです。日々普通の日常に感謝です。まさに、日日是好日にちにちこれこうじつです。




 本日もお読みいただきまして、誠にありがとうございました。

 




心が疲れた時、光回復魔法がおすすめです。なかなか効果絶大なので、よかったらお試しください。


「誰でも!簡単!心が疲れた時の光回復魔法⭐︎☆」

https://kakuyomu.jp/works/16816927860952380928







それぞれの価値観を認め合い争うことのない世界に、はやくなりますように。












――黙祷












  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る