起 鎌飯網
痕跡が消えた通りに人の足が戻りつつあることを確認し私は一先ず家へ荷物を取りに帰ることにした。
時刻はおそらく未。
一刻もしないうちに帰るつもりだったのにここまで時間がかかったのは かずが集めた血溜まりの土の運搬を嫌がったためだ。
馴染みの団子屋で団子を食べ呉服屋へ向かう。
かずの帰らないうちに新しい反物をいただく為だ。
「おや 人相見のとこのお嬢ちゃんじゃないか。
めずらしいねえ これは気まぐれか
それともいい反物が手に入ったことをもしかして聞いたのかい」
「はい、その新しい反物 この団子の串と交換して頂きたく参りました」
話下手の私に話しかけた報復である。
「素直に譲ればよし、譲らねばこの呉服は串と反物を取り換えぬと騒ぎましょう」
私の言葉に笑う店主と右往左往するかず。
「三日の夜それが期限としましょう。よく考えてご決断を」
くれぐれもそれまでによそ様へ渡すことなきよう忠告し、私は忘れていた荷物をまっすぐ取りに戻ることにした。
奇想天摩訶摩訶―退魔師 マカの備忘録ー Areimu @Areimu
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