甘辛くしみ、胸に灯る”赤”の温度。
- ★★★ Excellent!!!
この季節、寒さがより自分を追い詰めて来るような、そんな感覚を持つ人は多いのではないかと思います。
思うように上手くいかない、評価がついてこない、乗り越えられていない自分自身に幻滅してしまう…学生時代も社会人になってもそんな日は時折やってきたりもして。
心を疲弊させるのも人ならば、癒すのも人であったりする。
態度だったり言葉だったり物質だったり。人から人に与えられるぬくもり。
それは、お節介だったかもしれない。でもそれを素直に受け取れば心にぽっとあかりが灯る。
主人公が抱えるそれは、心に灯った暖かさの色なのかもしれないと、情景が目の前に流れゆく見事な筆致で、読者の心も温める作品でした。