パズル
「私って、アイカにとってどんな存在なの?」
鬱陶しいってことはわかっているその質問を、私は彼女にぶつけた。
だって、彼女のことが時折見えなくなるからだ。
隣にいても、キスをしても、肌を重ねても。
どこか、形のないもののように彼女は手をするりと抜けて行く気がして、確かめたくなった。
どんな酷い言葉で形容されてもよかった。
そこに彼女の意思さえあれば、私は甘んじて受け入れる。
強い意志が欲しかった。
でなければ、私の隣にいる彼女はなにか透明な、私の都合のいいものに見えるからだ。
彼女はゆっくりと顔を上げて、答える。
「パズルのピース……かな」
「どういうこと?」
「私の人生っていう絵のパズルのひとかけらっていうこと」
「……ひとかけらだけなの?」
「それではダメ?」
「できれば、もっと大きい存在でいたいのに」
「不思議なことを言うね、ミナは」
「そう?好きな相手の多くを占領したいのは誰でも一緒だと思うな」
「考えてみてよ。パズルって、一つでも欠けたら完成しないのよ?」
その一言で、パッと視界が開けた気がした。
そして、私の考えが幼かったことに気付かされて顔が赤くなる。
そんな私を見て、アイカは笑っていた。
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