クローバー

「四つ葉、見つけた」

菜々の小さな手にあるクローバーは、陽の光を反射して光り輝いていた。

「あげるよ、美羽に」

押し付けるように差し出されたクローバーを、指で挟んでクルクルと回す。

「ねえ、四つ葉の花言葉知ってる?」

菜々の言葉にゆっくりと頷く。

「なんだ、知ってるんだ。じゃあ……」

唇を差し出してきた彼女とキスをする。

クローバーの花言葉は『私を思って』だ。

彼女はきっと、そうだと思ってる。

このキスも彼女を思ってのキスだと。

でも、私は違う。

ポケットの中で、クローバーを握りつぶしながら、もう1つの花言葉である『復讐』という文字を頭の中で何度も何度も描いた。


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