どっち!?

 同じ制服に、同じアクセサリー、そして……同じ顔の2人が目の前で微笑んでいる。

 私の彼女が分裂したわけではなく、ただ単純に彼女達が一卵性の双子なだけだ。

 思わずため息がもれた。

「また『どっちが真奈美ちゃんでしょうかゲーム』するの?」

 少し呆れ気味にそう言うと、2人は頷いた。極力ヒントを与えないように、声を出さないつもりらしい。

 しかし、そんなことをされても自分の彼女である真奈美を当てるのは、簡単だ。

 一卵性の双子で、姿形がそっくりといえど、一方は私に恋愛感情を持っていて、しかも私と深く繋がっている。それに、彼女が言っていたのだ。

「好きな人に触られると、顔が真っ赤になるの」と。

 2週間前にこの家に来た際は、2人の頭を撫でたら一発でわかった。その前は顔を近付けておでこを当てたらすぐにわかった。

 今日はどんな風にしようか。

「真奈美、南美、2人とも片手を前に出して」

 2人が手を出したので、私はそれに自分の手を重ねた。

 顔の色が一気に、湯気を出さんばかりの赤色になった。

 2人とも、が。

 目の前で顔を真っ赤にしながら笑う2人。

「これでどっちかわからないでしょ?」

「でも大丈夫!」

「「2人とも紗季ちゃんが大好きだから」」

 2人が私の手を握る。

 手から伝わる体温が、私の頬まで上がってきているのがわかる。

 熱が耳まで届いた頃、私は2人に左右から抱き締められた。

「「大好きよ、紗季ちゃん」」

 左右の耳から入るその言葉が、脳内で甘く響く。

 幸せすぎる目眩を感じながら、私は2人を抱き締め、その頬に交互にキスをした。


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