第24話 僕の最期

























―――4枚目は何も書いてなかった。

僕の死に方や死に様、その時間や月日が何一つ書いてなかった。

どういうことかわからなかった。

彼女がどういう意図で



――――フ、フフフ・・・ククク・・・アーハハハハハ!!!



気づいた瞬間、僕は大声で笑った。笑いが止まらなかった。


くだらない、実にくだらないことであった。


何ともまぁ彼女はくだらないこといたものだと思った。


『君はここで手紙を見る』


彼女の予知を思い出した。


『読む』ではなく『見る』。


僕の中で手紙は見るモノではなく読むモノだと勝手に思っていた。

でも彼女の手紙は読むのではなく見るモノだったのだ。

すなわち4枚目には


「まさか『僕の死体』を描くとは・・・」


僕は死体が見えない。つまり僕自身の死体も見ることが出来ない。


彼女が手紙と言うキャンパスにえがいた『僕の死体』がどういうモノなのかわからない。


どうしてそんなモノを渡したのか?

その理由はわかる。

3枚目に書かれていた絵のタイトルからも読み取れる。


『君の最期』


内容を記載していないザックリとしたタイトル。

それすなわち


「・・・決めた」


「このキャンバスに描かれた絵を決めたよ」


「『僕は寿命で死ぬ』」


「それが君が・・・いや、君と僕が描いた絵だ」


「だから僕は精一杯、僕が死ぬその時まで生きるよ」


「約束する」


僕は未来を見て約束をした。

過去の約束を破ることになるが彼女は笑って許してくれるだろう。

怒るかもしれないが、最後には絶対許してくれる。

だって彼女もまた


『優しいから』




「―――私は君が嫌い」


「私を見送れない君が大嫌い」


「でも、それ以上に」


「私の最期のキャンバスを見てくれる君が・・・私のことを好きでいてくれる君が・・・」


「何もよりも君自身のことが・・・」


「大好き」




これが僕と彼女の物語。

呪われた彼女を見送れず、僕が勝手に『死ぬまで生きる』という呪いにかかる物語。


その後の僕がどうなったか?


それは未来を見て見ないとわからない。




『透明な君を見送りたい』


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透明な君を見送りたい ダメ人間 @dameningen

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