返信その1
小林 卓也様
お手紙ありがとうございます。
北山小学校少年少女探偵団!
すばらしいですね。いただいたお手紙には感心させられることがたくさん書かれていましたが、四年生で探偵団を作った小林様の行動力が特にすばらしいです。
私も小学生の頃に少年探偵団というものにあこがれて、親にスパイ手帳を買ってもらいました。
(探偵とスパイはぜんぜん違うのですが、使う秘密道具はよく似ているのです)
スパイ手帳についていた変装用のつけひげシールや、水に溶けるメモ用紙にわくわくしたことを覚えています。
でも自分で探偵団を作ることまでは思いつきませんでした。もし同じ学校に小林様のような人がいて、少年少女探偵団を作っていたら、団員として入れてもらいたかったですね。
そうなのです。ここの考え方が小林様と私の大きく違うところです。
探偵団っておもしろそうだ。でも探偵団はない。だったら自分で作ればいい。
そんな風に考えることができて、本当に作ってしまうというのはすごいことです。
そんなすばらしい探偵団の団長が、「藤松少年の迷推理」を読んで推理の勉強をしてくださっているとのこと、たいへん光栄です。
せっかく作った探偵団なのに、活躍の機会がないという悩みにも、とても共感できます。せっかく買ってもらったスパイ手帳の水に溶けるメモも、そこまでして秘密にしなければならないような伝言が思いつきませんでした。つけひげシールも小学生が使うのは変ですしね。
もう一つ感心したのは、副団長の花崎さんのことです。
小学生が、「みんながこまるような事件は起きない方がいいじゃない」とはなかなか言えません。
花崎さんは女子でしょうか。私が小学生のときにも、花崎さんのようにしっかりとした考え方のできる女子が、必ずクラスに一人はいました。今も昔もこういうところは変わらないですね。
行動力のある団長と、しっかりとした考え方のできる副団長。北山小学校少年少女探偵団の未来は明るいと思います。
最後に、せっかくお手紙をいただいたので、あまり事件が起きない北山小学校で探偵団が活躍できそうなことを考えてみました。
事件を解決することだけが探偵団の役目ではありません。身の回りにある「謎」を解明するというのも探偵団の重要な任務です。
北山小学校には学校の七不思議のようなうわさはありませんか。そういううわさがあれば、いつからそのうわさがあるのか、なぜそんなうわさが流れているのかを調べてみるというのはどうでしょう。もしうわさがなければ、学校を隅から隅まで調べてみるというのもいいかもしれません。探偵の目でくわしく調べると、これまで誰も気づかなかった発見があるかもです。
謎は学校生活の中にあり。
今思いついた言葉ですが、それっぽいでしょう。
何か発見されたらお知らせ下さい。
北山小学校少年少女探偵団からの調査報告をお待ちしています。
Fより
追伸
残念ながら「藤松少年の迷推理」の続きは出せそうにありません。
その代わりになるかどうかはわかりませんが、藤松君や信之介君が大人になって、本当の探偵として活躍する「へっぽこ探偵シリーズ」という本ががあります。これは大人向きに書かれた本なので、中学生になったら読んでみてください。
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