F先生の返信 5
太田 俊哉様
丁寧な回答、ありがとうございます。すべてが大変参考になりました。
以下に、ミユキ様の未来予知とされる事象について私の推測を述べさせていただきますが、これが真相だと主張するものではありません。あくまでも一つの可能性として読んでみてください。
先に結論を書きます。
カーテン越しに聞こえてきたミユキ様の声は、過去にカセットテープに録音されたものではなく、リアルタイムにミユキ様が発したものだった。
以下に詳細を示します。
〈準備する物〉
・古いカセットテープ(ミユキ様のテープは一九八〇年代に流通していたものでした)
・マイク入力端子のあるラジカセ
※マイクで拾った音声をスピーカーから出力しつつ、カセットテープに録音できるもの。
・ワイヤレスマイク+コードレスマイクモジュール
・太田様が招かれた部屋に隣接する、あるいはすぐ近くにある空き部屋
・スマートフォン二台+イヤフォン
もうこの時点で、私の言わんとすることがバレてしまったかもしれませんね。
つまりこうです。
ミユキ様は、ワイヤレスマイクとスマートフォンを持って、近くの部屋(ワイヤレスマイクの電波が届く範囲内)に潜みます。
Aは何も録音されていない古いカセットテープをラジカセにセットし、マイク入力端子にコードレスマイクモジュール(ワイヤレスマイクの音声を受信する部品)を差し込みます。
Aは自分の持つスマートフォンから隣室のミユキ様に電話をかけ、通話状態のままとします。
ここで太田様の登場です。
Aは太田様を室内に招き入れ、椅子に座らせると、いったんカーテンの向こう側に回ってラジカセの録音を開始します。(このときのガチャリという操作音を太田様は耳にされています)
Aはスマートフォンを通話状態にしたままポケットに忍ばせ、太田様の声を拾えるように椅子のすぐ近くに立ちます。
Aにうながされた太田様は、とまどいながら「あの――」と第一声を発します。
太田様の声はAのスマートフォンからミユキ様のスマートフォンに伝えられます。
ミユキ様はスマートフォンからの太田様の声をイヤフォンを使って聞き取り、ワイヤレスマイクに向かって言葉を返します。(その際、、スマートフォンが声を拾わないようマイク部分はあらかじめカーバーしておきます)
ミユキ様の声はラジカセのスピーカーから出力されると同時にカセットテープにも録音されます。
太田様はカーテン越しに聞こえてくるミユキ様の声(ラジカセのスピーカーからの声)とやり取りをします。
この太田様とミユキ様の会話は、ミユキ様の声のみカセットテープに録音されます。
会話終了後、Aはラジカセの停止ボタンを押し録音を止めます。
(窓の外を気にされていた太田様にはラジカセの再生を停止した音として認識されました)
Aはいったんカセットテープを取り出して太田様に確認させた後、再びカセットテープをセットして巻き戻し、録音したばかりのミユキ様の声をラジカセで再生してみせます。
カセットテープは最後に太田様に手渡します。
このテープには、太田様との会話に寸分の狂いもなくかみ合うミユキ様の声のみが録音されています。
いかがでしょうか。
古いカセットテープ以外は、特別入手が困難と思われるものはありません。古いカセットテープも未使用品である必要はありません。音楽等が録音されていたものであっても、いったん無音状態を上書き録音した上で使用すれば問題ないので、少し探せば入手は可能でしょう。
実際にこれと同じことが行われたのかどうかはわかりませんが、完璧な未来予知などなくても、太田様とミユキ様とのやり取りと同じ状況を作り出すことができます。
ただ、所詮は机上の空論です。実際に機材を使って検証したわけではありませんので、実体験をされている太田様の感覚では、これはちょっと違うなと思われる部分があるかもしれません。
そのあたりも含めて、ご意見等いただければ幸いです。
F拝
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます