読者から 2通目

 F先生、お返事ありがとうございます。

 現役のミステリー作家さんから直筆の手紙をいただけるとは予想もしておらず、びっくりするやらうれしいやらで、ミス研の先輩たちに見せびらかしました。ほとんどの先輩方は素直にうらやましがってくれたのですが、一人の先輩(三年生女子)だけ、「Fさんって小説よりも手紙を書くのが大好きで、ファンレターには全部返事を出してるらしいよ。そもそもそれほどファンレターがこないみたいだから、そんなに大変ってわけではなさそうだけど」と、とても失礼な憎まれ口を叩くのです。きれいな人なのですが腹の立つ先輩です。うらやましいなら自分も手紙を出して返事をもらえばいいのに。素直じゃないというか大人げないというか。


 失礼しました。どうでもよいことを書いてしまいました。今回お伝えしたかったのは全然別なことです。それを今から書きます。

 まずはいただいたご質問への回答です。

 森村誠一や笹沢左保の小説を読むことになったきっかけですが、実家の父の書棚にこのお二人の著書が大量に並んでいたので、なんとなく手に取ったら面白くて――という感じです。ただそれだけのことで、特別なエピソードというのはないのです。ご期待に添えず申しわけありません。ちなみに我がミス研で、このお二人の知名度はあまり高くありませんでしたが、F先生のことは私を除く全員が知っていました。そしてみなさん、へっぽこ探偵シリーズのこともよくご存知でした。少なくともミステリーが好きな若い読者の間では「あまり名が知られていない」ということはないと思います。ここまでが先生からのご質問への回答です。


 次にお伝えしたいのは、先日私が耳にした興味深いお話です。

 ここ最近、大学内に、金曜日の魔女のムラサキと同等か、あるいはそれ以上にすごい占い師が現れたという噂が広まっているのです。「すごい」とは具体的にどういうことなのかが気になるところですが、その噂を教えてくれた先輩(へっぽこシリーズを紹介してくれた人です)も、まだくわしいことまでは知らないとのことでした。これからもう少し情報を集めてみると言っていましたが、先輩からの続報を待つだけではもどかしいので自分でも調べてみようと思っています。ムラサキよりすごいというのは大げさだろうと思っていますが、面白そうな話が聞けたときはF先生にもお知らせします。


 なんだかまとまりのない内容になってしまいました。

 今回はこれにて失礼します。


                     K大学ミステリー研究会 太田俊哉

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