♡神様のおにぎり♡

x頭金x

第1話

 青森を握るとやはりリンゴの味が強いのだという。愛媛を握るともちろん蜜柑が強い。秋田だとキリタンポ味になるし、福岡は豚骨ラーメンだ。


 神様はそうして時々土地をお握りになる。そうして食べることで世界は適度に間引きされて、調和を保つ。


 神様は若く、美しい娘である。肘を枕にして、横になっている。その神様を取り囲むようにして神官たちが世界について今日もあれこれと協議をしている。


「青森をお握りになったので、青函トンネルがなくなってしまい、人間たちは大分苦労しているようですぞ」


「それぐらいの苦労がなんだ。適度な間引きこそ、他の世界の成長には欠かせないこと、そうであろう?」


「もちろんその通りだ。だが私は、人間たちの身になってあげてだな…」


「あのような下等な生物どもの気持ちなど一考に値せん」


「貴様!神が創り賜うた創造物に対してなんたる侮辱!!」


「うるせーハゲ!ハーゲハーゲ!!だからハゲんだよ」


 そんな感じで協議は続いていく。


 神様は立ち上がり、しゃがみ込んだ。


「おお、神様が創造なされますぞ!」


 神様はお腹にグッと力を入れた。


「ブリブリブリブリ」


 強烈な臭気と共に新たな世界が創造された。創造すると腹が減る。さて、次はどこを握ろうか。

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