読了後に蜃気楼に捕まった当事者のような、そんな酩酊した感覚を覚えました。よい意味でのトリップ、それも文学的な麻薬のような効果のあるホラー作品です。途中、ゾクっとする所もあり、何かの意図を感じる事もあり、それらが絡み合って、いざ結末に辿り着くと、見知った現実が既に消え去った浦島太郎のような感覚を覚えました。これから読まれる方には、小説でしか味わえない、この不思議なトリップ感覚が楽しめること請け合いです。