きつねとたぬきの隠し事

朝山力一

きつねとたぬきの隠し事

 むかしむかし、あるところにお爺さんとお婆さんがおりました。

「婆さんや、今日はタケノコ掘りに行こうかの」

「爺さんや、わたしは山菜をとってくるからね」

 このふたり、仲睦まじいその姿から、夫婦と間違われることもあるそうな。だけども本当は、爺さんは、婆さんも未亡人で、兄妹きょうだいなのでした。

「今日はタケノコを天ぷらにしちゃる」

 お爺さんは張り切っていました。

 村一番のそば打ち名人であるお爺さんのは、村でも大層人気でした。

「キノコも採れるとありがたいんじゃけど」

 お婆さんは、山菜うどんをこしらえようとしていました。

 村一番のうどん名人であるお婆さんのは、村でも大層人気でした。

「熊に気いつけてな」

 爺さんが軽く手を挙げてこたえ、西へ歩き始めました。

 道中、川沿いをのんびり歩いていると「今日はええ天気じゃ」と、つい声が出てしまいました。

 そんな不穏や険悪とは無縁の田舎道に、なにやら、異様なものが横たわっています。

「やや、あれは」

 たぬきでした。

 それも、干からびたたぬきです。


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