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舞台がはねたら。今回は破滅の予兆が前半で収束して、途中から一気に放たれていく構成が印象的でした。映画が終わった後、ポップコーンが汚く床に広がっている、という描写がなんだか象徴のように思えて、いいな、と感じました。前話で「感傷的なシンセシス」は最高のパフォーマンスで観客の度肝を抜きましたが、前のガールズバンドを解散してユーヒチさんたちのバンドに合流したことの説明をすっ飛ばしたように、危機は床に汚く放ったらかしたままなのです。
エチカちゃんが特にしんどいなあ、と思いました。アヲイさんには勝てないし、ナクスさんがいる以上、バッドエンドに進んでもユーヒチさんの心は彼女のものにならない。映画を見ながらユーヒチさんがナクスさんと会話するシーンはますます彼女の蚊帳の外みを感じさせる……。それにやっぱりこじらせちゃってるし、ジュンさんのように憎しみに走ることもできない。つらいですね。
モモコさんとガロウさんコンビもまたつらい……。二人ともとっても楽しそうな分、モモコさんが自分の現状を友人に対する裏切りだと気付いてしまうのがもう……。
今回、それぞれのキャラクターの視点からシーンがテンポよく変わっていくの、まるで軽快なSEがシーン転換の度に鳴りそうなほど心地いいんですが、過酷なアニメにある束の間の日常回的な、平穏と不穏の両立って感じがしてよかったです!
ひゃー! とまるで我が身のことのようにニコニコドキドキしながら読めました。アヲイさんとカハルさんが愛妻弁当の話で盛り上がるのいいですね。頬が緩んでしまいます。
前述した、モモコさんとガロウさんが楽しそうに会話してたりギター買いにいくシーンもニマニマしてしまいますし……。幸せな時間がある分、危機は映えますね。
あと、私はロック音楽や音楽そのものについてはあんまり詳しくないんですが、分からなくても「楽しそう!」と思える、ギターの話とか、作品じゅうに挟まれる音楽関連の話が素敵だと思いました。籠原さんの筆致が明快で簡潔なのもあるとは思うんですが、それは音楽について語る登場人物たちがどれだけ音楽を好きか、温度を伴って伝わってくるから、というのもあるんでしょうね。
あと、トワさんとレインさん、この二人のコンビもやっぱり素敵ですね。「エヴリアリの群青」ではさらにクローズアップされるわけですが、それを知った状態で読むの、楽しいですね。
アヲイさんとユーヒチさんの主人公コンビの行く末が一番不穏な第六話でしたが、ここからああなっていくんだと思うとワクワクしますね。前に拝読してから結構時間が経ったので、細かいディテールとか忘れてしまってると思うんですが、続きを読んで「ここはこうだったなあ!」と思い出すのが楽しみです!
面白かった~!
作者からの返信
ヱチカちゃんのコンセプトは「普通の女の子」だったのですが、映画館のシーンでは、本人がそのことを「自分の人生は賞をもらったり大ヒットしたりする映画じゃなくてつまらないアイドル映画の予告編だ」と言っているんだなあと思いました。
ガロウとモモコの関係、というか、ストーリーラインって今読み返すと完全に『ホワイトアルバム2』小春ルートオマージュなんですね(オマージュというか「私ならこう書く!」をやってる)。
やっと自分で気づけました。
アヲイとカハルの絡みを書くのは楽しかった記憶があります。私も好きな人にごはんつくってもらう側だからかもしれません。
トワとレインのコンビは、なにが元ネタなのかなあ……なんか「ディオというラスボスにプッチみたいな親友がいたの良いよな」みたいな気持ちがまずあって、そこから膨らませたんじゃないかと思います(またジョジョの影響受けてるよ籠原スナヲ……)
セツナすき
いい‟眼”というか周囲を見通す感受性を持っている